国交省、TCFDガイダンスを月内公表―不動産業界の気候変動対応、浸透目指す

 国土交通省は、不動産分野の「TCFD対応ガイダンス」を月内に発表する。日本の不動産固有の実情を考慮したうえで、気候変動リスクの情報開示をどのように進めるかを示す。大企業から中小企業まで、幅広い不動産分野の企業を対象にする。気候変動に詳しくない担当者でも、気候変動への対応の重要性を理解し、情報開示を進める手順を提示する。
 15年12月に金融安定理事会は気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を設置。17年6月に、気候変動がもたらすリスクと機会の財務的影響を開示することを推奨する「TCFD提言」を発表した。提言は、将来想定される複数の気候変動(気温上昇)シナリオを分析し、どの程度の影響額があるか評価することを推奨する。
 国交省のガイダンスは、日本の不動産会社が行うシナリオ分析のステップを、開示までの各段階で詳細に解説。不動産業界の代表的な気候変動リスク・機会を具体的に示し、それぞれに対応した開示サンプルも示す。例えば、「低炭素社会への対応が遅れ競争力の低下を招くリスク」に対しては、「炭素税やZEB/ZEH/環境建築物規制等の低炭素規制導入によるコスト増加」などを挙げる。また、日本の不動産固有の問題として、水災害が招く損害増大のリスクを、正しく投資家に伝えることの重要性も盛り込む。
 国交省は来週にガイダンスを公表後、業界への周知・浸透に取り組んでいく意向。海外投資家が開示内容をどうみるか、ポイントをチェックする資料として、また不動産業者と投資家がコミュニケーションをとるツールとしての活用も見込んでいる。(日刊不動産経済通信)

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