浦安市の連合体、環境未来都市に応募へ
浦安市、明海大学、民間9社の災害に強い環境配慮型都市の構築を目指す「浦安フューチャーシティコンソーシアム」は、内閣府が募集する「環境未来都市構想」に応募する方針を明らかにした。モデル地区を同市の明美地区と日の出地区に設定。ここでの取組みを街全体に広げ、浦安市のイメージ回復を図る。 「環境未来都市」は、省エネ、創エネなど低炭素化や高齢化対応、防災に注力した街づくりへの国の補助事業。このほど開いた会見で松崎秀樹市長は「内閣府に対し環境未来都市の募集に手を挙げる」とした。モデル地区として、参加企業であるスターツグループが戸建てとマンションの分譲を計画している明美地区、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームが戸建て分譲を計画している日の出地区が挙げられた。省エネや創エネなど環境配慮や液状化対策など防災に注力した分譲事業を行う。ここで得た成果を市全体の都市計画に反映していく方針。
2011/11/29 日刊不動産経済通信
液状化被害の再発防止にコストの課題
―費用対効果で復旧工事に止める住民も 浦安市の人口が、市として統計調査を開始した86年以来、初めて減少した。人口減少は、国道357号線を境に海側一体のエリアで、液状化現象の被害を受けたことが大きく影響している。復旧に向け、被害を受けた住宅の対応は様々。ただし、再発防止に向けた対策を採用するかはコスト面のハードルが高いようだ。 明和地所・新浦安本店情報部の南澤悦郎課長によると、「築30年以上の住宅については、これを機に建て替えるケースもみられ、仮住まいの賃貸住宅を仲介することがある」という。一方で、液状化現象の再発防止まで踏み切るかは、コスト面から慎重になる人が少なくない。ある地場業者によると「応急処置をしたうえで地震保険に入り、再度被害が出たら保険で賄える」ケースも想定でき、地盤改良まで実施するに当たっては、費用対効果を冷静に考える人もいるようだ。 国土交通省は、11年度第3次補正予算で「液状化対策推進事業」を創設したが、この事業を利用して宅地の液状化対策を実施するエリアは限られる。同事業は、公共施設と隣接する民間住宅の液状化対策を一体的に行う事業。スケールメリットを活かすことで、民間住宅の液状化対策費用のコストダウンが図れる。ただし、合意形成に時間がかかるなどの課題があり、同事業により宅地の液状化対策が進むことは考えにくい。 浦安市の12年1月1日時点の人口は、前年比1374人減の16万3113人。年齢構成別(外国人を含まない)にみると、20歳代が1016人減の2万1798人、30歳代が1954人減の2万8006人と、賃貸住宅に入居していると思われる人が多い層での減少が目立つ。
2012/02/09 日刊不動産経済通信
宅地の液状化対策で国交省が新たな指針
―浦安被害を検証、開発業者へ情報提供 国土交通省は、宅地の液状化被害の可能性判定についての技術指針を新たに策定した。東日本大震災で宅地の液状化被害が多発したことから、学識経験者による「宅地の液状化対策の推進に関する研究会」(座長=東畑郁生・東京大学工学系研究科教授)で、関東の被災地のボーリング調査結果と被害状況の関係を分析し、その結果を指針に反映した。 ボーリングデータを基に日本建築学会の「建築基礎構造設計指針」などにより各種指数を算定し、液状化による被害可能性を「高い」「比較的低い」「低い」の3段階で評価する。「高い」と判定されるのは、地表近くの液状化しない層が3mよりも浅く、なおかつ地表沈下量(Dcy値)が5㎝、あるいは液状化指数(PL値)が5を超えていること。 液状化しない層とは、概ね地表から地下水が存在する層までを指し、Dcy値は液状化により複数の地層から水がでた後に地表がどれだけ沈み込むかを表している。東日本大震災で液状化による顕著な被害がでた千葉県の千葉市美浜区、浦安市、潮来市、習志野市、香取市、茨城県の鹿嶋市、稲敷市、埼玉県久喜市、東京都江東区新木場で液状化した地域は、いずれも「高い」と判定される地域であることがわかった。 地下水位を下げるか、柱状改良などを実施しDcy値を下げることで被害可能性を低くすることができ、浦安市などでは複数の区画の土地をまとめて敷地の周囲にコンクリを注入し地盤を固める実験を開始した。国交省は「今後造成する宅地については同基準を参考にしてもらうことを望みたい。結果は消費者へ情報提供してもらえれば安心感が増す」と話している。
2013/03/18 日刊不動産経済通信
長谷工G、エルシティ新浦安の復旧完了
―大規模修繕合わせ総事業費13億円規模に 長谷工リフォームと長谷工コーポレーションが受注した浦安市の大規模マンション「エルシティ新浦安」(総戸数1248戸)の震災復興工事が完了した。7棟からなる大規模物件の外構再生プロジェクトで、長谷工グループの総力を挙げて取り組み、原状回復だけにとどめず将来を見据えた改修も盛り込んだ。 同物件(浦安市美浜1―6―1)は、85~92年に竣工したJR京葉線新浦安駅前の物件で、約3200人が居住。東日本大震災で建物には甚大な被害はなかったものの、液状化により建物と地盤面との間に段差が生じたり、震災後1カ月以上水道が使えなくなるなどインフラ面での被害に見舞われた。 昨年8月の着工まで、被害の程度調査を各所で実施。施工が長谷工コーポレーション、管理も分譲時から長谷工コミュニティだったことから、工事部隊の長谷工リフォームを含め再生メニューの提案ではグループを挙げて取り組んだ。敷地内通路は舗装材の張替えを施したほか、水景施設「じゃぶじゃぶ池」を高低差の少ない憩いの広場へと変更するなど、将来を見据えた新たな付加価値を与える改修を盛り込んだ。管理組合によると、「復興工事の費用は2億4000万円。2度目の大規模修繕のタイミングだったのでそちらも実施し、全て含めると13億~14億円の規模になる。追加徴収なく全て修繕積立金で賄えた」(竹内誠理事長)。管理組合は最大3000万円の補修補助金を浦安市に6月をメドに申請する予定。 工事完了の記念式典では長谷工リフォームの鹿倉克幸社長が管理組合から感謝状を受け、「自分が設計に携わったマンション。液状化対策に力を入れていたこともあり、被害は最小限だった」と振り返った。
2013/04/30 日刊不動産経済通信
新浦安・日の出の分譲地が11月販売開始
―トヨタ・パナ・ミサワが隣接地も取得 トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームの3社は、千葉県浦安市の大型分譲地「THE ISLES(ジ・アイルズ」の販売を11月に開始する。同エリアは、都市再生機構(UR)から10年春に110億8000万円で購入した分譲地だが、東日本大震災の影響で進捗が滞っていた。海辺に近いエリアであることから「暮らせるスマートリゾートの島」をコンセプトに、リゾート地を演出したまちづくりを展開する。 「ジ・アイルズ」(浦安市日の出7-4-1ほか)は、JR京葉線・武蔵野線新浦安からバス11分の立地。URから取得した土地は、敷地面積7万3767・06㎡・316区画の規模だが、130区画分を先行して開発する。3社の社長と松崎秀樹・浦安市長が出席する9月4日の記者会見で詳細を発表する。 新浦安エリアは震災の影響で、広域にわたり液状化被害が発生した。現在開発中のエリアで液状化被害はなかったが、道路を含めて地盤を強固にする液状化対策工事「SAVEコンポーザー工法」(工事会社=熊谷組)を昨年実施し、安全性を訴える。ヤシの木などの樹木がある街路を整備して、リゾート地の雰囲気も演出する。各社とも独自のスマートハウスを建設するが、外壁や外構などを共通化して統一感を出す。市場価格に沿った価格で販売する予定。 トヨタ、パナ、ミサワの3社は、「ジ・アイルズ」に隣接する土地も取得しており、新浦安エリアでの供給をさらに増やす方針。一方で、同じく震災前に千葉県から落札していた新浦安・高洲6丁目エリア(約4万7000㎡)は、今年7月に契約を辞退している。
2013/08/08 日刊不動産経済通信
トヨタ・パナ・ミサワが新浦安で5百棟
―松崎・浦安市長「復興に向け反転攻勢」 トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームの3社は、千葉県浦安市の大型分譲地「THE ISLES(ジ・アイルズ」の販売を11月に開始する。新浦安で東日本大震災以降、初めて供給される大型宅地分譲。販売に先がけ、各社トップと浦安市長による共同記者会見を浦安市のオリエンタルホテル東京ベイで行った。松崎秀樹・浦安市長は冒頭の挨拶で「復興に向けて反転攻勢の年としたい」と話した。 「ジ・アイルズ」(浦安市日の出7-4-1ほか)は、JR京葉線・武蔵野線新浦安からバス11分の立地。全4街区・開発総敷地面積約12万㎡から成り、戸建て517棟の供給を予定している。開発エリアで液状化被害は全くなかったが、安全・安心をアピールするために、道路を含めて液状化対策工事を実施。基礎下約7mの地層が液状化しないようにしており、国の基準(基礎下5m)を大きく上回っている。「液状化対策にはとことんこだわった」(藤井康照・パナホーム社長)。130区画分・約3万㎡を先行して開発しており、11月から販売を開始。全区画160㎡以上の敷地を確保している。トヨタホームの森岡仙太社長は「東京まで電車で16分で、50坪以上の宅地は考えられない」と話し、希少性をアピールした。価格は未定だが、土地・建物合わせて7000万円台からとみられる。 浦安市民である竹中宣雄・ミサワホーム社長は、「液状化を経験して、非常にコミュニティの力が強いと感じた。みんなで応急処置をして対応していた」と話し、人とのつながりが強い地域の特性をアピールした。
2013/09/05 日刊不動産経済通信
住宅会社3社の大型分譲地に堅調な需要
―地元浦安市民購入、7千万円台半ば中心 トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームの3社が千葉県浦安市で販売している大型分譲地「THE ISLES(ジ・アイルズ)」の販売が堅調に推移している。土地と建物合わせて7000万円台中盤が中心の価格帯だが、第1期で売り出した34棟のうち30棟近くが契約済み。浦安市は、東日本大震災による液状化被害でブランドイメージを落としたが、不動産取引は正常化しつつある。 「ジ・アイルズ」(浦安市日の出7-4-1ほか)は、JR京葉線・武蔵野線新浦安駅からバス11分の立地。開発総面積は約12万㎡。全517区画の分譲を予定しており、このうち130区画を先行して開発。都心に近い立地でありながら、全区画160㎡以上の敷地面積を設けているのが特徴で、パナホームによると、代表的なプランは敷地面積165・79㎡、延床面積123・81㎡、価格7349万円。これまで30棟程度が契約済みで、最高倍率は約6倍。主な購入層は40歳代前半の会社員で、年収は1000万円超。浦安市在住者が85%で、千葉県外の人は8%だった。 新浦安エリアは、液状化によりイメージが低下したが、住宅売買件数は正常化している。地元の老舗不動産業者である明和地所・新浦安本店情報部の南澤悦郎課長は「浦安の住宅購入者層の多くは浦安市在住者や浦安に地縁のある人たち。彼らは液状化の被害を実際に受けているため、液状化を得体の知れないものと捉えていない」ことが、取引件数が正常化した理由と話す。ただし、「中古マンションの価格は震災前の20%減の価格水準が続いている」(南澤氏)とも話し、買い手の価格目線はまだ下がったままとなっている。
2014/02/24 日刊不動産経済通信
新浦安エリアの不動産取引が正常化へ
―中古マンション価格回復、新築供給開始 千葉県・新浦安エリアの不動産取引が回復している。東日本大震災により液状化の被害を広範囲に受けた影響で、震災後はしばらく低迷したが、景気回復局面に入った13年初頭から同エリアの不動産市況も改善。同年秋から販売開始した大型戸建分譲の販売が堅調に推移しているほか、200戸規模の新築マンションの供給も今春に控えるなど、新築市場も動き出した。 新浦安エリアの不動産取引は震災後、大きく落ち込んだ。中古マンション価格は従来より20%近く下落したが、アベノミクスが始動した時期から徐々に回復。ロイヤルハウジング販売モナ新浦安ショップによると「ボリュームゾーンの2000万~4500万円台の物件は、概ね震災前の水準に回復している」。地場の不動産会社「すまいる情報新浦安」では、新浦安エリアでの中古マンション販売在庫数が積み上がって、ピーク時には震災前の3倍以上に達した。12年秋頃からは減少傾向に入り、足元の在庫はピーク時の約半分。震災前より多い水準だが、震災前の在庫水準が低すぎただけに、現在の水準は正常という。賃貸市場も回復しており、明和地所新浦安本店によると「13年頃に震災前の家賃の2割減くらいで埋まった。現在の賃料は当時より上がっている」。入居者の入れ替わり時などに、賃料を適正水準に戻せているようだ。 トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームの3社が開発中の全130区画の大型戸建分譲地「THE ISLES」の販売も順調に推移しており、これまで80区画程度で契約を得た。新日本建設と平和不動産が開発中の「エアーズガーデン新浦安」(総戸数222戸)の販売も今春開始予定で、新築市場も動き出した。
2015/02/10 日刊不動産経済通信
(この稿終わり)