「3.11」ー東日本大震災は2011年2011年3月11日14時46分に発生、三陸沖の宮城県牡鹿半島の東南東130km付近を震源とし、マグニチュード9.0を記録した。仙台ではオフィスビルなどに大きな被害は報告されなかったものの、沿岸部は津波でまちが流され、福島では東京電力福島第一原発が原発事故を引き起こした。被災地では住宅被害で、住宅・不動産事業者に対し応急仮設住宅の建設、借上げ住宅(みなし仮設)斡旋が要請された。その被害は、東北地方のみならず、首都圏を含め広域に及んだ。なお、災害発生当初は、「東北地方太平洋沖地震」と報道されていた。その後、政府が「東日本大震災」とした。
東北地方太平洋沖地震関連報道・宮城宅協と全日宮城、罹災者の住居確保―賃貸仲介手数料負担、日管協は状況把握
宮城県内約1400社の宅建業者が会員の宮城県宅地建物取引業協会は、「各支部長、理事へ連絡を続けており、安否確認に追われている」(事務局)。14日午前までに宮城県と仙台市から、被災者向けに借上げ住宅の斡旋の依頼があり、14時30分に対策本部を立ち上げた。依頼内容は、県と市がそれぞれ3000戸、計6000戸の借上げ住宅の提供を求めるもの。宮城宅協は「会員に向けて間取りや賃料に関係なく、空室物件のデータをあるだけ出す方向で協力したい」(同)としている。
全日本不動産協会宮城県本部は、宮城県と締結している「災害時における民間賃貸住宅の媒介等に関する協定」に基づき、罹災者に対する住居の確保のため、会員が保有する賃貸住宅の空室情報の一覧を作成、県へ提供する。ただし、津波などの罹災により沿岸部の会員を中心に連絡がつかない状況が続いており、「まずは会員の安否の確認に努めている。空室に関する情報はできるかぎりの数を集約したい」(菅原四郎・事務局長)。なお、罹災者に対する賃貸仲介手数料については県本部が負担する方針。
日本賃貸住宅管理協会は、14日午前の段階で、東北地方の賃貸管理物件の被害等の状況把握に努めている。東京の本部事務局によると、「東北地区の会員会社は福島県・いわき市に南東北ブロックの支部があり、この支部は今日は休業だ。この地域を除いた会員会社社員とその家族に人的被害はないが、管理物件の被災状況はつかめていない」のが現状。(2011/03/15付、日刊不動産経済通信)
東北地方太平洋沖地震関連報道・被災者へ空室提供・仮設住宅建設が急務 ―東日本巨大地震、首都圏で被害確認進む
東北地方太平洋沖地震の被災者向けに、被災地からの仮設住宅の建設要請が相次いでいる。福島県はプレハブ建築協会に対し、応急仮設住宅の建設を要請。政府は公営住宅などの空き室を被災者に提供するため、都道府県の公営住宅と都市再生機構(UR)に対し空き室状況の報告を指示した。全国賃貸住宅経営協会からは住宅支援の申し出があったほか、政府も民間賃貸住宅の関係団体に対して協力を要請している。
公営住宅とUR賃貸住宅で現在提供可能な空き室は、公営住宅が全国に約5000戸、UR賃貸住宅は約1000戸。うち東北地方はそれぞれ約600戸、15戸にとどまっている。公共住宅だけでは、被災者の数を受け入れるだけの住戸提供が十分でないことから、早急な仮設住宅の建設や民間賃貸住宅などの空き室の提供が望まれる。URは仮設住宅の建設の際、技術者派遣などで協力する体制を整えている。
首都圏の自治体の中には、地震による建築物の被災状況を確認するため、被災建築物応急危険度判定を実施しているところもある。東京都では、10市区で実施しており(14日11時30分現在)、計278件を調査、32件を「危険」、58件を「要注意」と判定。
政府は、計画停電によって作動中のエレベーターがストップする恐れがあることから、エレベーターの管理者や補修者に対しても注意を喚起している。東京電力も、自家用発電設備を設置していないビルやマンションでは、電灯のほか、エレベーター、自動ドア、オートロック、立体駐車場などが稼働しなくなるとして、注意を喚起している。(2011/03/15付日刊不動産経済通信)
東北地方太平洋沖地震関連報道・大手デベ、仙台市内の物件に被害なし―仙台でのマンション販売活動など休止
三井不動産は14日までに、仙台に保有・運営するオフィスビル、商業施設、ホテルについて、大きな人的、物的被害がなかったことを確認した。特に、海岸沿いの商業施設「三井アウトレットパーク仙台港」(仙台市宮城野区)では、津波警報を受け、来訪客、施設従業員らが強制退避しており、人的被害はなかった。ただし、「調査がきちっとできる状況にはなく、再開までには時間がかかるとみられる」(広報部)。一方、09年に三井不が仙台市太白区で開業した「三井ショッピングパーク・ララガーデン長町」は、軽傷者(来訪客1名、従業員4名)が出たが、その他のケガ人はなし。仙台のオフィスビルとホテルには、目立った建物の被害はなかった。新築マンション販売は、東京建物と共同による超高層プロジェクト「ミッドプレイス仙台タワー&レジデンス」(仙台市若林区、総戸数306戸)のモデルルーム販売営業を休止した。
森トラストは、昨年竣工した東北一の超高層複合ビル「仙台トラストタワー」(仙台市青葉区、地上37階建て)や、市内の「仙台MTビル」(仙台市宮城野区、地上18階建て)の建物に大きな被害はないと報告。MTビルは免震構造、トラストタワーは制震構造を採用している。ただし、トラストタワー内のラグジュアリーホテル「ウエスティンホテル仙台」や、商業施設は営業を一時休止している。
三菱地所は14日、仙台市内の複合施設、泉パークタウンをはじめ、すべての関連施設で、人命にかかわる人的被害、倒壊などの大きな物的被害は確認されていないと発表した。仙台市内のオフィスビルは、正式に開館はしていないが、テナント企業は入館できるようにしている。泉パークタウン内のアウトレットを含む商業施設や「仙台ロイヤルパークホテル」、ゴルフ場は営業を休止した。一方、東京都内では、「丸の内ビルディング」の商業施設が営業時間を午後6時までに短縮。計画停電が実施されれば、商業施設は、それに伴い、営業を停止することになる。
日本ビルヂング協会連合会は、仙台エリアには、約50社の会員がいるが、大きな被害は報告されていない。まず東京などの会員社に向け、節電の呼びかけを行う方向で検討する。年次総会を6月に仙台で開催する予定だったが、変更も含め、検討に入る。不動産協会も、会員社の被害状況など、実態把握を始める方向。日本住宅建設産業協会は、14日午後の段階で、宮城、福島の会員社の安否確認をはじめ、情報収集を続けている。連絡がつかなくなっているのは、宮城県仙台市内の5社のうちの3社、福島県内の2社のうちの1社など。同事務局は、「通信手段は限られている。被災しているかもしれず心配。大丈夫だとは思うのだが」と話している。(2011/03/15付、日刊不動産経済通信)