一五不動産情報サービスは東京と関西の賃貸物流施設市場動向(調査期間20年11月~21年1月)をまとめた。東京圏の空室率は前期(20年8~10月)比0・2㌽減の0・2%と、調査を始めた08年以降での最低値が3期続いた。募集賃料は4410円と昨年4月から4400円台で高止まりしている。一方、関西圏の空室率は0・3㌽増の2・8%とやや上がり、賃料は横ばいの4000円と需給が均衡基調になった。
東京圏では、プロロジスや三菱地所、日本GLPらが期中に竣工させた合計10棟のうち9棟が満室で稼働した。東京圏では空き施設がなく、竣工する施設が次々に埋まる状況が続いている。旺盛な需要を反映し、千葉県の募集賃料が特に高まっているという。全域でプレリーシングが円滑で、当面は臨海・内陸を問わず良好な需給環境が続くと展望している。
関西圏では新たに床面積23万7000㎡分が市場に出たのに対し、テナントの需要は21万2000㎡と需給がほぼ釣り合った。具体的には期中に竣工した4棟のうち3棟が満床で稼働した。空室率は19年10月以降、2~3%と低位が続く。関西では特に内陸部で多くのマルチテナント型物流施設(LMT)が建設されており、いずれも順調に内定しているという。東京圏と同様、関西圏でも当面は良好な需給環境が続くと同社は予想している。
東京・関西両圏では物流施設の需給がひっ迫する傾向だ。ただ道路網の拡張や工場跡地の転用などで物流適地が広がっているほか、デベロッパーらの開発参入も増えている。このため同社は「そう遠くない時期に物流施設の需給は均衡に向かう」と分析している。(日刊不動産経済通信)