森ビルが虎ノ門ヒルズビジネスタワー(東京・港区)に昨年4月開業したインキュベーションセンター「ARCH」に入会する大企業が増えている。大企業の新規事業創出のサポートに特化しているのが特徴で、12月現在で会員企業・会員数は52社・440人に上る。100社・1000人の入会を当面の目標に据える。
同センターは「大企業の新規事業チームが集積する出島」(同社)の位置付け。入会できるのは大企業の新規事業部門や経営企画部門のほか、既存事業の企画部門に絞り、部長以上の決裁権者を含むチームでの入会を条件としている。業種別では情報・通信・広告が比較的多いが、様々な業種の大企業が会員となっている。協業や事業のタネ探し、情報収集などを求めて参画しているという。
事業創出に必要な知識やスキルを習得できるスクールを開催しているほか、専門知識を持つメンターが課題解決をサポート。会員同士の情報交換ができるイベントや交流会などを開き、ネットワーキングにも力を入れる。新規事業に関する情報は社外の人には話しにくいものだが、大企業の従業員同士だと信頼関係を築きやすく、悩みも共通していることが多いという。
施設の運営は森ビルと、米国シリコンバレーに本拠地を置き、ベンチャー投資や大企業の事業創出支援を手掛けるWiLが行っている。施設の広さは3800㎡に上り、コワーキングスペースやカフェ&ラウンジ、セミナーなどを行う「マグネットルーム」、会議室などで構成する。個室はスモールオフィス5室と、プロジェクトルーム9室。幹部研修などの利用を見込み、キッチンを備える「プレミアムコワーク」もある。(日刊不動産経済通信)