地所、東京駅前に「トーチタワー」着工 ―中島社長「丸の内など都心に住宅検討」

(提供:日刊不動産経済通信)三菱地所が東京駅日本橋口前に計画する高さ約390mの超高層再開発ビル「トーチタワー」の起工式が27日に行われ、建設工事が本格始動した。面積約3・1haの都心一等地で進む大手町連鎖型再開発のコア施設。地上62階建てのビルにオフィスや50室の高級賃貸住宅、110室の世界最高級ホテル、ホール、店舗など多様な機能を入れる。28年3月の竣工を目指す。式典後に会見した中島篤社長は、59、60階に設ける賃貸住宅について「(大丸有にレジを作るのは)当社初の試みだ。今回の計画を第一歩として丸の内、有楽町を含む場所に住宅の配置を考えていきたい」と述べた。

着工したトーチタワーと同じ街区に21年6月に「常盤橋タワー」、22年3月に「銭瓶町ビルディング」が竣工した。トーチタワーと街区中央に設ける約7000㎡の広場が28年3月に形になれば10年以上にわたる大手町の大規模開発が完成する。就労や居住、飲食、娯楽などの複合機能を持つビルが東京駅前に生まれ、世界から人を呼び込むための大きな受け皿が整う。

会見で中島社長は「大手町の国際的な認知度が一層高まる」と開発の意義を語り、オフィスのリーシングについて「確定したテナントはないがいくつかの企業が関心を持ってくれている」と明かした。高級ホテルと連動させる賃貸住宅については「立地を考えると一般的な家族が住むというよりも、世界を飛び回る人が東京での拠点にするなどのイメージだろう」と語った。オフィスに誘致するテナントは金融系など国内外の大企業が主軸だが、床を小分けしベンチャー企業なども呼び込む。20年時点で再開発の総事業費は約5000億円と試算。竣工後に三菱地所が本社を移す考えは「現時点ではない」(中島社長)という。

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