シリーズ;熱海・伊豆山地区土砂災害③ 土砂災害警戒区域と特別警戒区域
日野市平山6丁目 坂の向こうにレッドゾーンの山林が迫る

 熱海伊豆山地区の土砂災害の発生状況について熱海市は、被害棟数が約131棟(128世帯、216名)、死者6名、安否不明者22名(7日午前9時50分現在)と発表した。救助されたのは6日までに28名。静岡県の川勝平太知事は、土石流の発生原因の調査を指示。7日午前に県が開いた会見では、土石流の発端となる逢初川の源流域の盛り土について、水を抜くための排水口などが未整備だったことなど、工事に欠陥があったことを明らかにした。

黄土色(濃・淡)が土砂災害警戒区域 熱海・伊豆山地区のハザードマップ

 そもそも今回の土石流で巻き込まれた住宅のほとんどは、宅地などの開発規制を伴わない「土砂災害警戒区域」に属する。警戒区域は「イエローゾーン」と呼ばれ、行政は危険性の周知や警戒避難体制の整備が求められており、区域内における宅地建物取引の際は宅建業者による重要事項説明が義務化されている。その一方で、宅地などの開発規制を伴う「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)は、逢初川源流付近に一部存在するだけ。レッドゾーン付近で起きた土砂の崩壊が、下流のイエローゾーンその他を飲み込んだ格好だ。

 国はこれまで、土砂災害リスクのある地域の開発や取引の規制をレッドゾーン中心に行ってきた。具体的には、レッドゾーン内の分譲住宅や賃貸住宅、貸しビルなど「自己以外の居住・業務用の住宅・施設」の開発は禁止、さらに直近の法改正で22年4月より、新たに自社ビルや自社店舗などもレッドゾーンでの開発は原則禁止となる。ただし自己居住用の住宅については、レッドゾーンはもとより、イエローゾーンでも規制措置は取られていない。

日野市平山6丁目の基準地価調査地点付近 駅徒歩圏内も急坂がきつい

 土砂災害警戒区域・特別警戒区域は全国至るところに存在する。東京都内だけでも警戒区域は1万5000ケ所以上、特別警戒区域は1万3000ケ所以上ある。東京ではこれら箇所の現況は人が住む住宅地ではなく山林となっている崖地がほとんど。ただし今回の伊豆山のように、上流部で崖崩れが生じた場合に下流の住宅地に影響は出ないのだろうか。こうした災害リスクが織り込まれ、地価に影響が現れている地域もある。

 東京都が平成28年3月9日に特別警戒区域指定した場所がある日野市平山6丁目の基準地価(昨年7月1日時点)は、住宅地で前年比の下落率が全国ワースト1位。平山6丁目の基準地価調査地点は1年で18%も下落した。他に日野市内には10%近い下落地点がある。いずれの調査地点も急傾斜地の住宅地だ。調査地点はハザードマップには掛かっていないものの、坂の上にある山林がレッドゾーンやイエローゾーンの崖池だ。日野市内では近年、豪雨の影響で実際に土砂崩れが発生した場所があり、これらの事象から周辺の不動産取引が低調になっており、地価が下落している。

新築分譲住宅(日野市平山6丁目)

 一般的にこうした地域の住宅地は、資産価値に影響することから住民がイエローゾーンなどの指定について拒むケースがあるという。平山6丁目では、既存の住宅地はほとんどがイエロー指定されておらず、人が住んでいない崖上の山林のみがレッドあるいはイエローゾーンとなっている。

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