(提供:日刊不動産経済通信)三井不動産レジデンシャルは個人の生活様式に応じて滞在場所を選べる「多拠点居住」のサービスを来秋から本格展開する。自社の高級賃貸マンション「パークアクシス」などに家具・家電を付けて短期利用の予約を募った結果、「想定以上の手応え」(同社)を得たことから事業手法の詰めに入った。多拠点居住の利用権を新築分譲マンションに付与したり月額制を導入したりする案のほか、地方展開も視野に入れている。
サービス名は「n’estate(ネステート)」。場所や時間にとらわれない就労と観光の形が定着しつつあることを踏まえ、東京圏や地方などで展開するパークアクシスやグループ企業の賃貸住戸を積極活用する試み。住宅宿泊事業法などを使い、2年単位の賃貸借契約だけでなく一泊や一カ月などと利用期間に幅を持たせ、物件の空室率改善と利回り向上につなげる。山田貴夫取締役専務執行役員は「賃貸住宅を分譲の受け皿とは考えていない」と強調。日本で新築住宅の市場規模が縮小基調になるなか「分譲と賃貸という既存の枠組みを超えた新しい居住形態を提案し、当社グループの住宅のファンを増やす」と力を込める。
東京圏や地方都市の10拠点を対象に9月29日から試験利用の予約を募った結果、今月24日までに都市型拠点(8物件26戸)に25戸、郊外型拠点(2物件)に1件の応募があったという。応募者は会社員と経営者で、年齢構成は30歳代と50歳代が30%と最も多く、20歳代は22%、40歳代は15%だった。対象物件や料金設定などは未定だが、現行の家賃に2割程度上乗せした価格でサービスを提供する方向。自社の新築分譲マンションのオプションに組み込む形も検討している。