単身高齢者向けに残置物処理契約を策定─国交省ら、賃貸契約解除の代理権を付与

 国土交通省と法務省は、賃貸住宅の居住者が亡くなった後に残された家財(残置物)を円滑に処理する仕組みを年度内に構築する。依頼された事務処理を委任者死亡後も受任者が行う「死後事務委任契約」を活用。今年度中に新たな契約条項を公表することを想定し、有識者と議論を進めていく。
 残置物は、相続人全員の同意なく処理することが難しい。両省は有識者とともに、「建物賃貸借における残置物処理に関する研究会」を立ち上げ、4月から議論を開始した。賃貸借契約の解除に関する条項と、残置物の処理に関する条項の2つを大きな柱とする委任契約書「残置物の処理等に関する契約条項(案)」の20年度内の策定に向けて、議論を重ねている。
 適用範囲は、単身高齢者が賃貸物件に入居する場合のみにする。残置物処理を行う受任者には、賃借人の推定相続人などが検討されている。家主は賃借人と利益相反の関係にあるため受任者にはなれない。受任者には賃借人死亡時に賃貸借契約を解除する代理権が与えられる。そして、残置物の廃棄や指定先へ送付する事務を受任者に委任する。契約条項のひな型を仕上げた後は、国交省作成の「《大家さんのための》単身入居者の受入れガイド」で新たな委任契約を紹介するほか、専用のパンフレットも作り周知に努める意向。
 高齢者に対する賃貸住宅の家主の入居拒否感は強い。日本賃貸住宅管理協会が行った調査(回答242件)では、高齢者(60歳以上)に対し約8割の家主が拒否感を示した。鹿児島県居住支援協議会が単身高齢者世帯に求める支援策を探ったところ、死亡時の残存家財処理が61%で最多だった。新たな残置物処理契約は、こうした入居拒否感の払しょくを目的とする。

2020/11/24 日刊不動産経済通信

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