コロナの影響をどう見たらいいのか(上)<br> ―不動産経済研究所、マーケット展望するウェビナー開催
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 コロナウイルスは不動産市場に広く影響を与えている。各プレーヤーにとって見通しにくいマーケットが続きそうで、判断には一定のハードルが課されている。不動産経済研究所は「コロナ下の不動産マーケットを展望する」と題したウェブセミナーを開催(9月24日迄)。各アセットと投資市場の見通しと戦略などが示された。一部の概要を紹介する。


都心5区オフィスは需給ギャップ8.5万坪
定借満了に合わせ大口解約の顕在化可能性も

 オフィス市場について、三幸エステートの今関豊和マーケティング事業部市場調査部長が解説。オフィスの全体需要について、都心5区・50坪以上に限ってみると、2020年上半期までで、リーマン・ショック時以来の供給過剰にあり、約10万坪の需給ギャップがある。第2四半期(4~6月期)だけを見ると解約の方が多くギャップは8万5000坪で、空室率を1%押し上げるインパクトがある。第2四半期の成約面積は9.2万坪(前年同期比42%減)で半減に近く、オフィス需要の急減でリーシング活動の低迷が鮮明になってきた。
 現空面積に加えて、退去前だが募集が出ている面積を加えた「潜在空室率」を見ると、空室率は緩やかに上昇しているのに対し、潜在空室率は急速に上昇、特に直近3カ月で上昇、2.48%から3.67%まで上昇し解約が急速に増えていることを示している。ただし、区ごとに上昇に違いがあり、定借が多いエリアである千代田区では動きが見られない一方、港区、渋谷区では普通借が多く、テレワークに親和性の高いIT企業が入居する渋谷区は解約を出しやすい。今後のマーケットは、2021、2022年と新規供給が低水準にとどまるため、空室率4%台で推移する。賃料は概ね、2万3000円台で横ばいを予想する。
 大阪は東京と比べて、空室率に対し潜在空室率の上昇ペースは速いが、急ピッチでは上がっていない。コロナやテレワークなどの影響が、東京ほど出ておらずマーケットの動きも落ち着いている。2021年の第4四半期までは新規供給が極めて低い。そのため需要超過が期待できる。向こう3年間で、空室率は1%から1%を下回る。引き続き賃料は上昇を続け、3年後は1万5000円を超えるところまで上がっていく。名古屋も大阪以上に新型コロナの影響があまり表れていない。空室率は1%台まで下がり、3年後は大阪同様1万5000円台まで上昇する可能性がある。
 今後、足元でテナントは具体的なアフターコロナの事業戦略を立てづらいのが現状であり、定借満了に合わせて大口解約が徐々に顕在化する可能性がある。中長期的には、テレワークが働きやすさの側面から選択肢として残り、各企業の課題になる。ただ、対面によるコミュニケーションの重要性は変わらないため、テレワークと対面のハイブリットをどうオフィスに落とし込んでいくか。オフィスの役割が変わり、業務効率を高めるだけでなく、社員が出社したくなるオフィスがキーワードだ。

2020/9/25 不動産経済ファンドレビュー

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