マンションストックの適正な管理が社会問題にも挙げられる中、地域ごとの課題に向き合い存在感が増している管理士会・管理士の活動を、日本マンション管理士会連合会(日管連)に所属する全国のマンション管理士会の協力を得て紹介していく。今回は、日管連が8月25日に開催した第13回定時総会の模様をレポート。事業計画では、マンション管理適正化法が改正された中でマンション管理士の活用が促進されるための方針などが示された。
マンション管理適正化診断サービスと
管理計画認定制度の連動見据える
定時総会は昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンラインを併用しての開催と
なった。第14期(2021年7月1日〜2022年6月30日)の事業計画案・予算案のほか、第
13期(2020年7月1日〜2021年6月30日)の決算報告、役員選任などを審議し、いずれも承認された。
事業計画では、まず注力する事業として▽改正マンション管理適正化法におけるマンション管理適正化推進計画についてのマンション管理士及び日管連の役割の確立、▽国土交通省補助事業である「マンションストック長寿命化等モデル事業」のマンション実態調査(全国18地域)の遂行及び執行会員会の支援、▽会員会所属マンション管理士のマンション管理士業の充実に資する支援―の3点を位置付けた。
このうちマンション管理適正化推進計画への対応では、日管連の地域ブロック代表者会議を通じ
た管理士会への迅速な情報伝達による支援を行う。管理状況に応じ共用部の火災保険を割り引く
「マンション管理適正化診断サービス」が、推進計画を策定した自治体が実施する管理計画認定制度と連動する予定であることから、各自治体の推進計画と連動してサービスのPRや普及などにも取り組む。推進計画の運用に当たり管理士を活用する余地がある点を国や自治体、関係団体に要望していくほか、日管連が唯一のマンション管理士全国団体であることをPRして管理士の活用や日管連の地位向上も訴えていく。
マンションストック長寿命化等モデル事業の実施では、実態調査を足掛かりに、自治体の施策への管理士会や所属する管理士の参画を推進する。管理士業の支援では、マンション管理適正化診断サービスで診断業務を担う診断マンション管理士の能力を維持向上させるための講習に取り組む。管理士が管理組合の財産などに損害を加えた場合などにその金額を補償する管理組合損害補償金給付制度の周知や利用拡大を行い、それにより管理士による第三者管理の拡大を下支えする。損害補償金給付制度については、給付の支払い対象となる「認定マンション管理士」の登録拡大に取り組むほか、認定マンション管理士の資質を生かして業務範囲の拡充も検討する。また、管理組合への補償額の3億円への増額を検討し、管理士の活用拡大や信頼性向上を目指す。このほか、会員会が相互で自治体の施策や実例に関する情報の共有も実施する。
2021/10/5 月刊マンションタイムズ