新時代の管理運営を探る㊼マンションを終の棲家とするために 築50年を目標にブランディング戦略を推進する(下) マンション管理士/TALO都市企画代表・飯田太郎

新時代の管理運営を探る㊼マンションを終の棲家とするために 築50年を目標にブランディング戦略を推進する(上)より続く

管理組合と一体の「みなし自治会」を設立

 現在、多くの自治体はマンションの管理組合を町内自治会として扱わないが、千葉市は東日本大震災を機に、管理組合を町内自治会と同様の組織として位置づける「みなし自治会」制度を設けた。この仕組みを活用してブラウシア管理組合は理事が自治会長を兼務、地域の課題解決に積極的に取り組むことになった。他のマンションの自治会等と「千葉みなと地区自治会連合会」を立ち上げ、中学校の統廃合問題、空港行高速バスの停留所の誘致といった管理組合の業務外と言われかねず、かつ単体の自治会では難しい課題に取り組み成果をあげている。
 管理組合運営の基幹となる理事会を、オブザーバー制や「みなし自治会」により体制強化したことをベースに、多くの区分所有者・居住者が具体的に参加し実感できる改革に取り組んだ。例えば住民アンケートで不満が最も多かった植栽の改善である。経年劣化する建物と違い植栽は年々成長するが、放置すれば居住環境の悪化要因にもなる。しかも植栽は多くの人が一家言をもち、維持管理に参加することも容易である。植栽5か年計画をつくり樹木の植え替え等を住民参加型のイベントも含め実施した。植栽管理会社である東邦レオの紹介で群馬県川場村との交流がはじまり現地を訪問。千葉市、ブラウシア、川場村による合同シンポジウム「らしさの追求」も開催した。また県内の鴨川市の棚田で田植えや稲刈り等を体験、収穫したお米を使い市内の酒蔵で日本酒造りにも挑戦した。
 管理会社のレーベンコミュニティと管理業務の委託・受託という立場を超えて、ウインウインのパートナーとしての関係を築いたことは、同社の業務改善にも寄与した。多数のマンション管理士を擁するメルすみごこち事務所の深山州氏、マンションコミュニティ研究会の廣田信子氏等のアドバイスも得た。

財務体質の強化と積極的な情報発信で
資産価値を向上

 管理業務のコスト圧縮と収益事業による収支の改善を進める一方で、通常30年の長期修繕計画を54年計画に延長、修繕積立金も㎡単価133円の均等積立方式とし、別に緊急災害費用㎡14円も徴収、2億円の積立てを完了している。
ブラウシア管理組合の活動のなかでとりわけ目を引くのは、積極的な情報発信とメディアへの対応である。多くの先進的な取り組みをしているだけにマスコミの取材も多い。取材対応用の資料映像を用意し活動内容が正確に伝わるように配慮、ブラウシアの公式ホームページで放映、掲載された媒体を紹介している。ブラウシアの多彩な活動は同管理組合法人の公式HPの他、「マンションと暮せば by SUUMO」「「マンション・ラボ」(つなぐネットコミュニケーションズ)」等で詳しく紹介されている。
 こうした財務体質の強化と情報戦略により市場取引価格が着実に上昇。居住環境の改善とあいまって居住者の定住志向も強くなり、3つの住戸に4世代が暮らす家族もいる。
 ブラウシア管理組合は2020年11月に法人格を取得した。BB55が描く将来像の一つである住戸を管理組合で買い取り共用施設として活用することや、死亡後に不動産を管理組合に物納する代わりに、管理費/修繕積立金を免除(減額)するリバースモーゲージの実施等に備える意味もあるだろう。
 少子高齢人口減少に代表される日本の将来について、多くの人が不安を感じている。しかし、日本の社会が戦国、江戸、明治、大正、昭和前期を通じて、大きな政治的変動を経ながらも基底の部分で平衡を失わず発展を続けてきたのは、私有と共有が巧みに結合した水田耕作等を通じて培ってきた地域力による。
経済の高度成長と引き換えに地域力の多くを喪失した現在、日本社会を基底から再生する可能性を秘めていのが、専有部分という個々の暮らしの場と共用部分という街を結合した共同体=マンションである。この可能性を現実のものとするためには、戦略的な目標を定め一つ一つの課題を着実に解決するマネジメント力が必要である。笑顔の絶えないコミュニティと困難に立ち向かう統率力のある管理組合の形成――ブラウシアの活動を集約したBB55は、従来のマンション管理の常識を超えた、新しいタイプのガバナンスを確立するための先駆的な手引である。
※「ブラウシア・ブランディング・ブック」(BB55)についての問い合わせは
ブラウシア管理組合法人公式ホームページから
https://blausea.jp/contact.php 

2021/6/5 月刊マンションタイムズ

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