アットホームの調べによると、東京20エリアでの小規模オフィスのテナント募集物件数は20年4月の緊急事態宣言までは減少傾向だったが、解除後に一気に増加し、20年12月の物件数は前年同月比41・2%増となった。とくに、物件増加率の上位は「渋谷」を中心とする「新宿」から「目黒」にかけての山手線南西部に多かった。同社はコロナを契機に事務所縮小や賃料の安い物件を求める動きで空室が増え、賃料の高いエリアで募集物件が増加したと分析する。
同社がまとめた20年下期(7~12月)の東京とその他主要エリアの小規模オフィスの募集賃料動向の調査で分かった。同調査はアットホームで20年7~12月に登録・公開された50坪以下のオフィスのうち、東京20エリアと仙台市、横浜市、名古屋市、大阪市、福岡市で駅徒歩10分以内の物件の募集賃料を調べたもの。東京の小型オフィス(25~50坪)と超小型オフィス(5~25坪)の賃料はともに上昇傾向が継続し、データが残る12年下期以降の最高値を更新した。コロナ禍を契機に空室が増え、結果的に賃料の高いエリアで募集物件が増加した影響とみる。小型オフィスの賃料は1坪当たり1万5315円で、前期(20年上期)より1・1%上昇したが上昇幅は縮小。超小型は1万3410円で1・5%上昇した。東京20エリアでは、小型と超小型ともに上昇と下落が10エリアずつの半々。10%以上の変動は小型の2エリアのみで、全体的に小幅な動きとなった。
今後について同社は、空室増加に伴い、賃料を下げてでも空室を埋めたいという動きが出始めるため、賃料低下につながる可能性があると推察する。(日刊不動産経済通信)