国土交通省は、大規模修繕工事に関する実態調査を実施した。調査項目は工事金額や工事の内訳などについて、工事の回数や住戸数などでの傾向を示している。マンション計画修繕施工協会(MKS)の会員企業159社、マンション管理業協会の会員会社357社、設計コンサルタント業務を担う企業298社を対象に、昨年7~10月にかけて調査した。集計対象となった工事は878件。
工事の実施回数と築年数に関する調査では、1回目の大規模修繕は「築15年以下」が51・6%。次いで「築16~20年」が32・6%となった。2回目の大規模修繕は「築26~30年」が47・2%、「築31~35年」が18・1%、「築21~25年」が16・6%。3回目では「築41年以上」が46・5%、「築36~40年」が25・5%となっている。平均値をとると、1回目の実施は18・2年、2回目は29・4年、3回目は37・3年だった。中央値では、1回目が15年、2回目が28年、3回目が40年となっている。
平均修繕周期は、「13年」が23・1%と最も多い。次いで「12年」が18・8%、「14年」が15・4%、15年が11・1%で、全体の約7割が12~15年周期での実施という結果になった。修繕周期と大規模修繕工事の回数をみると、平均の周期は1回目が15・6年、2回目が14・0年、3回目が12・9年で、回数が増えるほど修繕の周期は短くなる傾向が明らかになった。
工事金額と大規模修繕工事の回数に関する調査では、1回目が「4000~6000万円」が17・3%で最も高く、2回目は「6000~8000万円」(18・1%)、3回目は「6000~8000万円」「1億~1億5000万円」(ともに16・9%)が最多。ただ、いずれの回も工事金額の幅は広く、1回目は平均値が1億5237万円、中央値は8665万円、2回目は平均値1億1702万円、中央値7660万円、3回目は平均値1億4758万円、中央値8703万円となっている。
1戸当たりの工事金額は「100~125万円」が27・0%で最も高く、次いで「75~100万円」が24・7%、「125~150万円」が174%の順となった。1㎡当たりの工事金額では、「1・0~1・5万円」が33・4%でトップ、続けて「0・5~1・0万円」が19・9%、「1・5~2・0万円」が15・4%を占めた。
設計コンサルタント業務に関する調査のうち、業務内容の分けを業務量ベースでみると「工事監理」が47・9%で最多。次いで「設計」24・3%、「調査・診断」が15・0%、「施工会社選定への協力」が9・1%。回数ごとにみても業務の内訳の割合は同様の傾向がみられるが、2回目はほかの回数では2割程度のウエートを占める「設計」が29・3%に増え、代わりに5割程度のウエートを占めている「工事監理」が37・5%にとどまる。
業務の実施期間の調査では「1年半~2年」が29・0%で最多。回数別にみると1回目、2回目は「1年半~2年」がそれぞれ31・6%、36・0%を占め最多となり、3回目は「6カ月以下」(24・0%)が最多だった。
このほか、工事の発注方法に関する調査では、「設計・監理方式」が80・1%、「責任施工方式」が12・6%。回数による明確な違いはみられないが、戸数別でみると、20戸以下では設計・監理方式が48・0%、責任施工方式が44・0%と拮抗するなど、戸数が少ないほど責任施工方式の割合が高くなる傾向にあった。施工会社の選定方法は、発注者があらかじめ仕様や数量などの条件を提示している「見積合わせ方式(条件提示型)」が6割を占める。施工会社を選定した際の評価された事項を調べると「工事金額」が63・1%で最も高いものの、「施工会社の実績」(58・3%)、「現場代理人予定者の実績」(39・3%)、「技術提案」(34・7%)などへの評価も集まった。
2022/7/5 月刊マンションタイムズ