アパ、フランチャイズ化でホテル地方展開加速―地方のADR増、リニア駅など出店検討

 アパグループは地方都市でのフランチャイズ(FC)展開を加速する。コロナ下で地方店舗の平均客室単価(ADR)が東京の実績を上回る逆転現象が生じていることから、地方へのFC出店を強化する。元谷一志社長は本紙の取材に応じ、「(27年開業予定の)リニア中央新幹線の中間駅が計画される岐阜県中津川市や長野県飯田市などはFC事業の狙い目だ」と述べた。大都市よりも競合他社が少ない有力地方都市に店舗網を広げ、国内需要を開拓する方針だ。
 新型コロナの影響でアパホテルの全国平均稼働率は3月に約50%、4月に約30%などと下降した。だが一棟貸しで軽症の感染症患者を受け入れたり、1泊2500円の格安プランを打ち出したりと工夫を凝らし、5月には稼働率が45%程度に戻った。政府の旅行需要喚起策も追い風となり10月には70%台に回復。地方には100%を超える高稼働の施設も出始めた。
 元谷社長は「地方では大企業の需要がある岩手県北上市や山口県防府市、長崎市などの店舗でビジネスの宿泊客が増えている」と話す。大都市の多くの店舗でADRが今なお前年実績を下回っているが、地方には健闘している施設が多いという。来春には第2位以下の地方都市に、複数のFC店舗を開業する予定だ。
 同社は25年3月までの5カ年を対象とする現行の中期経営計画で、最終年までに総客室数を現行の10万756室(3月30日時点)から15万室に増やすとの目標を掲げている。目標達成への戦略として、M&A(企業の合併・買収)やフランチャイズ(FC)化などの手法を活用したり、ホテル収益を多角化させたりする方針を打ち出している。

2020/11/11 日刊不動産経済通信

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