(提供 日刊不動産経済通信)総務省は、23年の通常国会に住民基本台帳法(住基ネット法)の改正案を提出する方針だ。国や地方自治体が公共事業を行う場合などで、土地所有者が不明だった時の所有者特定をしやすくする。所有者情報の提供を住基ネットに一本化・デジタル化することで、探索の手間を軽減する。
政府は27日、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議を開催。基本方針と対策の工程表を改訂し、所有者不明土地の所有者探索を円滑にするため、「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の更なる活用」を掲げた。これを受け総務省は、住基ネット法改正案の国会提出に向け、関係省庁と検討を進めていく。
国や地方自治体が道路整備などの公共事業を実施する時に、土地所有者が死亡していて所有者不明の場合、相続人のいる自治体に紙で住民票の写しなどの書類を請求する必要があった。調査のうえ、相続人が複数自治体にいるとなれば、請求先も増える。この窓口を住基ネットに一本化。住基ネットから、所有者や相続人の最新の住所、死亡年月日などの必要な情報を提供できるようにする。
基本方針にはこのほか、所有者不明土地対策と共通の課題がある空き家対策との連携、地籍調査の加速化、区分所有法制の見直しなどを盛り込む。所有者不明土地対策と空き家対策の連携の一環で、国土交通省は空家法の見直しに向けた検討も行う。また、国交省は空き家関連ビジネスなどのスタートアップへの重点支援も実施する方針。具体的には、空き家活用の際の資金調達から事業運営までの一貫サポート、オンラインでの空き家のリモート内覧会実施などを支援する。