2022年宅建試験に向けて‥今年は成人年齢が引き下げられたほか、不動産取引のデジタル化など重要な法改正がある。こうしたポイントは宅建試験でどう問われるだろうか。今年初めて受験に臨む初学者の人や、何度もチャレンジしていて今年こそは合格!と考えている「不動産業界人」に向けて、宅建試験で問われることは何なのか、学習のポイントはどこにあるのか。来年で宅建試験の指導歴20年を迎える、ベテラン講師のみやざき塾主宰・宮嵜晋矢氏に話を聞いた。
宮嵜晋矢氏 プロフィール
03年に宅建試験の指導を開始。LEC東京リーガル マインドでの指導を経て、日建学院へ移籍。同学院で講師や教材開発に携わりつつ、11年から個人の指導塾「みやざき塾」を開講した。
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宅建試験をめぐる学習環境について
私自身はおよそ20年近く、宅建試験の講師の世界で活動している。「みやざき塾」では従来型の大手スクールとは違い、受講生のモチベーションを高め、学んだことが鮮明に頭に残るような講義を行なっている。宅建試験にチャレンジするには大手資格スクールの講義を受けるやり方が長らく一般的だった。だがここ5年くらいは通信やオンラインを使った新しいやり方で受験指導する人が出てきている。中にはスマホを用いて通勤時間でも学習できるようなツールまであるが、こういった類のものは昔はなかった。みやざき塾でも新しい時代に求められていることに積極的に対応していきたい。
受験する人にとっては面白い時代になっていると思う。今の時代は テック、スマホアプリ、SNSを活用した学習ツールがある。これらを上手に使いこなせる人は元々の能力が高い。だからどんなツールを使っても合格すると思う。こういうタイプの人は、私が無料で提供している模擬試験とか、無料のまとめ集などを使って、効率よくやれば1、2週間で受かる人もいる。だがそうではない普通の人にとって、基礎能力の高い人がやるようなことの真似はできない。
受験対策について。合格に要する受験の時間は
受験生全体の中間からやや下の基礎学力の人が独学するという想定であれば、平均学習時間は350時間くらい。宅建試験の過去問を過去10〜12年分やるのが一般的。昨年と1昨年の試験は10月と12月で2回実施されたので、過去12年だと14セットになる。1セットにつき50問あるから、合計で700問となる。この700問を3〜5回繰り返すと200時間は必要になる。これにテキストとか講義受講、模擬試験の受験を加えると300時間を超える。それで身についた人は試験に受かるし、身につかない人は受からない。
ただし時間だけで測ることは難しい。同じ過去問をやるにしても人によって要する時間が違う。同じ700問解くにも 早い人だと50時間〜100時間未満で合格ラインに到達する人もいる。本当に要領のいい人は、700問の過去問も隅から隅まで全てやらなくてもいいと判断する。何をどこまでやれば合格点が取れるのか、割り切りできる人だ。
受験対策はいつからやれば間に合うか
勉強の開始時期は遅くても5月から6月。どんなに少なくても200時間は勉強に当てられる時間がないとダメ。だが一概に時間と言っても、人によって本読むスピードが違うし、それこそ分速何文字読めるかによっても違う。理解するスピードも人それぞれ違う。単位時間当たりどれくらい理解できるか違う。例えば普段からレベルの高い文章を読む習慣のある人なら、宅建の試験問題は簡単に見えるかもしれない。大手はどうしても十把一絡げになってしまうから、この時間数で合格できると言い切ってしまう。でも最初から無理ゲーの人がいる。そこから目を背けてはいけない。宅建試験は個人の趣味で受験するのではなく、仕事で必要な人が合格しなければいけない試験だからだ。
優先順位をどうつけるか
宅建試験は50問中7割程度取れればいい試験だ。優先順位をつけるなら、宅建業法、農地法、宅地造成等規制法、国土利用計画法、地方税は絶対に点を取らないといけない まずは優先順位の高いところからガンガンやって出題50問中30点取れればいいと考える。その後は時間が許す限りそれに準ずる、点をとりやすいところからやっていく。そうすれば合格のボーダーを超える。そういう攻め方だ。だがそういうことができる要領のいい人は極々一部だ。最短ルートで行けるような人は受験慣れしている基礎学力がある人だ。多くの人は真似できない。宅建試験は年齢もバックグラウンドも様々な人が受験する。だから自分にあった学び方が大切になる。勉強が苦手な人は本当にゼロから。まずは言葉の意味から理解する必要がある。意味がわからない言葉や単語はちゃんと調べないといけない。そして法律用語、法律の表現、法律の考え方を理解していく。丁寧に、段階を踏んでいいかないとどこかで行き詰まってしまう。情報が氾濫する世の中だ。 情報がありすぎて逆にわからなくなってしまう人がいる。
合否のポイントを分けると
まずは使う教材だ。例えばある知識を覚えた時に、その知識を表面的に覚えるだけの人と、その言葉や漢字の意味、今までの人生経験などから整理・推測できる力のあるポテンシャルのある人とでは理想の教材は異なってくる。問題文を読んで、何が問われているのか意味がわかる。解説文を読んで意味がわかる。そういう人前提だが、後者の人で言えば、重要なポイントだけをミニマムにまとめた、まとめ集的なものが理想の教材だ。みやざき塾で言うと「超重要ポイントまとめ集(最新版は6月頃に提供)」というものを用意している。 そのまとめ集で重要ポイントを頭に入れて、ある程度過去問題集でトレーニングすれば、受かってしまう。みやざき塾では毎年、それほど多くはないが、最短で3日とか1週間とか10日で合格する人もいる。ある程度、勉強慣れしているような人はテキストとか、まとめ集は10時間くらいで流すだけで、あとは過去問を解きながらテキストを確認する。過去問は間違えたところや苦手な問題だけを数回繰り返すだけ。受験慣れしている人ならそれでいい。