不動産業界も電子化が進む③ 不動産特定共同事業法(不特法)に基づいた不動産クラウドファンディング

小規模不動産の証券化進めるRCF手法
STOで二次流通進めば、流動性は拡大


 不動産特定共同事業法(不特法)に基づいた不動産クラウドファンディングについて、LIFULL Investmentの松坂維大取締役が解説した。
 不動産クラウドファンディング(以下、RCF)とは、不動産投資の小口化商品で、証券会社などを介さずに数万円単位から投資をすることが出来る。身近な事例である上場リートは複数の、比較的規模の大きな不動産へ投資を行っていくのに対し、RCFは投資先が単一不動産であることが多く、より現物不動産投資に近い感覚で投資を行える。このように単一不動産を裏付けとしていることから、不動産価格の変動にはリンクするものの、証券市場の影響を受けにくい。また、上場リートは数百億円規模で組成されるが、RCFでは数千万円、数億円といった単位で組成が可能で組成コストが抑えられる。そのため、不動産であれば小規模物件でもファンド化が可能で、すでにマーケットにはバリエーションが出始めている。
 2017年の不特法改正により電子取引への対応と小規模不動産特定共同事業の創設が認められ、参入事業者とファンドの募集額は右肩上がりに拡大している。とは言え、2021年12月末時点では約25社・200億円超という状況で、未だ市場規模は小さいが、上場リート等では組み込めない小規模不動産は市場に多く、今後マーケットの規模は相当に拡大していくことが期待出来る。現在、宅建事業者がライセンスを取得しての参入が進んでおり、各社は既存事業とのシナジー効果を狙った戦略を練っている。例えば、①投資用不動産販売の入口としてRCFを用いることで不動産投資へのハードルを下げる試み、②賃貸管理会社におけるオーナー向け商品としての提供、③買取再販を行う事業者がエクイティ資金を得るファイナンス手法、④SDGs投資やインパクト投資としてローンが付きづらい案件での活用、といった事例が見られる。
 RCFは、現状プライマリー商品が主なため流動性は高くない。だが、セキュリティトークンオファリング(STO)を活用した二次流通市場が模索され、われわれも2020年に古民家再生案件で取引を実行した。ブロックチェーン技術を用いたSTOの仕組みは過渡期にあるが、確立されれば資産規模が小さく、流動性が高い商品として提供が進む。不動産商品がオンライン上で安心して売買される流れは、足元で構築されつつある。

2022/2/25 不動産経済ファンドレビュー

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