データが不動産を変える① オルタナティブデータ不動産活用の現在地 ナウキャスト 赤井厚雄会長

不動産経済研究所は、「データ世紀の不動産ビジネスチャンス!」と題したオンラインセミナーを開催している。実際にデータが不動産にどう影響を与えているのか、電子契約や不動産取引の現場はどうなっているのかなど、6名が登壇し、足元と今後の可能性を語っている。今号と次号にわたって、セミナーの概要を紹介する。

 

オルタナデータが不動産を大きく変える
高頻度で価値把握、デジタル化は不可逆的


 「オルタナティブデータ不動産活用の現在地」と題し、ナウキャストの赤井厚雄会長が講演した。
 社会経済がデジタル化しており、今年はさらに加速する。デジタル化が進むことで、人類の活動のログが溜まっていく。それらのデータは古典的な統計に対して、デジタルから生まれたオルタナティブデータであり、不動産を大きく変える。
不動産は基本的に資産なので、そこには価値がある。データの活用により資産価値の見える化が進めば、Jリートや不動産ファンドに限らず、多くの不動産を保有し開発するデベロッパー、電鉄会社も含めて、不動産投資の高度化が進んでくる。昨年から、都市のマネジメントや都市の再生にデジタルデータ、オルタナティブデータを使う検討が進んでおり、先行的に取り組む自治体や、開発事業者も出てきている。
 オルタナティブデータで何が見えるのか。たとえば高頻度リアルタイムで街中やショッピングモールなどの人の動きを見ることが出来る。それらのデータは、何かを変えなければならないシグナルを出しやすく、不動産リスクの見える化が進む。収益不動産をキャッシュフローに基づいて評価することが第1のイノベーションであるならば、変化を捉えることが出来るデータの活用が第2のイノベーションだ。
 オルタナティブデータである人流データの分析により、オフィスの出社動向やリモートワークの浸透状況、ホテル宿泊客の属性変化を把握できるようになってくる。また、決済データの分析により、商業施設の来客動向や物流施設のニーズを把握することができる。Jリートがこれらのデータをフルに活用して高頻度で価値を把握できるようになれば、大都市のわかりやすいオフィス以外のものも幅広く投資の対象となってくる。昨年上場した、東海道リート投資法人は先駆けと位置付けてもいい。
 政府が進めるデジタル田園都市国家構想は、地方の豊かな生活環境と、都市の利便性の両立を狙うことがうたわれており、5.7兆円まで積み上がったそれぞれの取組みの有機的連携とEBPMを徹底する。社会経済のデジタル化は不可逆的で、不動産ビジネスも全体としてデータドリブン(収集したデータの分析結果をもとに意思決定する)になってくるのだろう。

データが不動産を変える ―弊社開催のオンラインセミナーから②へ続く

不動産経済ファンドレビュー

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