名古屋市が条例とマンション管理適正化推進計画を策定 新築・既存とも届出を義務化、未届けは公表も
マンションタイムズ

 名古屋市はマンション管理適正化を推進するため条例を制定する。今年4月に公布し、一定の周知期間をみて施行する予定。既存マンションには管理状況の届出を義務化し、分譲前のマンションにも分譲会社からの管理計画の届出を義務化する2本が柱となっている。また、また2030年度までを計画期間とする管理適正化推進計画も策定し、管理組合の自律的運営による適正管理などを促進する。

 条例の制定は、市がマンションの管理状況を把握して助言や支援を行うことで管理不全を予防し、良好なマンションストックや住環境を形成するのが狙い。関係する主体の責務を規定したほか、新築・既存マンションの届出義務化、届出がない場合の措置などを定めた。

 既存マンションには管理状況の届出を義務化する。届出事項は▽管理規約の有無、▽長期修繕計画の有無・計画期間、▽管理組合の連絡先―などで、18項目程度を設定する方向で調整している。4月の公布までに全体の項目を明らかにする考え。公布から施行までを周知期間に充て、施行のタイミングで届出を求める。届出は市から郵送で書面を送付する形を想定している。対象は居住用の専有部が6以上あるマンション。届出は5年ごとか内容に変更が生じた場合に求める。

 新築マンションには管理計画の届出を義務化する。分譲当初から適正な管理ができる体制を整備し、適正管理が継続するのを求める。届出項目には長期修繕計画の計画期間や修繕積立金の金額など数項目を設定する見込みで、国の長期修繕計画作成ガイドライン、修繕積立金に関するガイドラインに準じた水準を求める。対象は居住用の専有部が6以上の新築分譲マンションで、届出時期は最初の売買契約締結日の30日前までとする。市は公布後、事業者との行政協議の中で条例について説明し、届出に理解を求めていく。なお、改正マンション管理適正化法に基づいて国が創設する新築マンションを対象とした予備認定制度とは別の取り組みとなる。

 届出内容が適正な管理にそぐわない場合や内容が現状と大きく異なる場合などは助言や指導、勧告を行う。正当な理由なく届出がない場合は指導・勧告の対象とし、勧告に従わず届出がない場合は、既存マンションであればマンション名、新築マンションは分譲会社名の公表に踏み切る。

推進計画、市独自の認定基準 第三者管理の役員を市が派遣

 市の管理適正化推進計画では、適正化の推進を図るための施策として8項目を示したほか、市独自のマンション管理適正化指針を策定した。8項目の施策は▽管理者等・分譲会社からの届出、▽管理計画の認定、▽管理に関する相談窓口の設置、▽専門家派遣事業の実施、▽外部役員派遣事業の実施、▽長期修繕計画の作成や大規模修繕工事の実施円滑化に向けた支援、▽助言・指導等の実施、▽名古屋市住宅供給公社によるマンションの修繕やその他の管理の業務の実施―となっている。管理計画の認定では改正適正化法で創設された管理計画認定制度の実施へ、市独自の認定基準を設定。自然災害等に備えた防災への取り組みの実施と、マンション周辺の自治会との連絡窓口を設けること、の2点が追加され、防災やコミュニティ形成への意識を高めている。

 外部役員派遣事業の実施では、管理組合の活動実態がみられないマンションや管理規約が存在しないマンションなどに対し、市で管理の専門家を管理組合の役員として派遣する。第三者管理の活用を市が主体的に行う形となる。今年度にモデル事業として4組合で同様の取り組みを実施しており、その事例も踏まえ事業に取り組む。助言・指導等は、既存マンションに対しては専門家団体と連携して訪問により実施し、新築分譲マンションには条例で求める管理計画の届出に照らして実施する。

月刊マンションタイムズ 2022年2月号

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