不動産投資市場はコロナ前と変わらない ~日本不動産研究所の調査結果から~
不動産経済ファンドレビュー

日本不動産研究所は、コロナ禍と不動産投資市場の変化等について、不動産投資家の認識を調査したアンケート結果をまとめた。2021年10月1日時点。現在の不動産投資市場について、新型コロナ感染症の発生前と比較して、「変わらない」とする回答が全体の40%を占めたが、一方、「現在の方が、活況だ」とする回答も一定数あった。不動産投資市場の今後の成長ファクターについては、「市場参加者の多様化」が最も多く、次いで「投資アセットの多様化」、「DX」が続いた。市場のリスク要因は、「賃料の伸び悩み」が最も多かった。

同調査は第45回不動産投資家調査の特別アンケートとして実施され、アセット・マネージャー、アレンジャー、デベロッパー、生損保、レンダー、投資銀行、年金基金など188社にアンケートし、137社から回答を得た。現在の不動産市場の市況について、新型コロナ感染症の発生前(2019年下期)と比較して、どのように認識しているのか聞いたところ、「変わらない」が最も多く、次いで「現在の方が、活況」が27.4%、「現在の方が、低調」が26.7%。活況と答えた回答者の理由は、「取引市場において、高額取引や取引件数が多い」が最も多く64.3%、次いで「その他」が16.7%。「エクイティの投資条件(リターン等)が緩い」が9.5%、「デットの融資条件(金利・LTV等)が緩い」と「賃貸市場において、需給がひっ迫している」が同数で4.8%だった。「変わらない」理由は、「取引額や取引件数が変わらない」が45.1%、「エクイティの投資条件」「デットの融資条件」が変わらないが21.6%と同数。「低調」の理由は、「賃貸市場において、需給が緩和」が35.1%、「高額取引や取引件数が少ない」が27.0%、「国内経済が不調」が18.9%だった。

新型コロナ感染症の発生から現在までを振り返った時、市場への影響が大きかった事象を聞いたところ、「ホテル市場の急速な低迷(インバウンド需要の蒸発など)」が最も多く、次いで「物流施設の躍進(eコマース市場の拡大・成長等)」、「外資による積極的な対日不動産投資」が続いた。

これからの不動産投資市場の成長ファクターは、海外勢や公的年金、SWF等の「市場参加者の多様化」が最も多く、次いで「投資アセットの多様化」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」、「カーボンニュートラル」が続いた。今後の不動産投資市場のリスク要因は、「賃料の伸び悩み」、「金利上昇のリスク」の2項目が飛び抜けており、次いで「レンダーの融資姿勢の変化」が続いた。

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