宿泊・小売りは国内需要が市場回復牽引 CBRE、訪日客減も富裕層ら需要増

 CBREはコロナ禍で傷んだ国内のホテル・リテール両市場が回復するまでの道筋を展望する報告書を公表した。宿泊と小売りの国内需要がいずれも90%超と、主要先進国のなかでも特に高い比率を占めることを説明。訪日客の入国が解禁されるまでの間、事業者らが国内需要の取り込みに集中している実情を紹介した。富裕層狙いの都市型路面店やリゾート開発などが増えるなか、目が肥えた消費者に選ばれるブランド力を磨けるか否かが勝敗を分けると強調している。
 主要先進国における入国規制の度合いには9月時点で温度差がある。日本は豪州などと同じく5段階で最も厳しい「国境閉鎖」の措置を講じている。感染者数が減るにつれ制限は段階的に緩和される見通しだが、完全撤廃までには時間がかかりそうだ。
 一方、国内のホテルや観光、小売りの市場を支えるのは圧倒的に日本人客の需要。CBREの計算値では、日本における国内需要層の割合は19年時点で小売市場は95・4%、宿泊市場は90・7%と、いずれも主要16カ国で2番目に高い割合だ。外出抑制の影響で昨年の家計貯蓄額は19年比約29兆円増の36兆円と大きく増え、人々の消費・観光への欲求が蓄積されたことから、同社は「国内需要だけで強い市場回復力がある」と結論付けている。
 大きな需要が顕在化する形として「消費の回数よりも単価を上げる方向」(CBRE)になると分析する。実際に小売りやホテルの事業者らは国内需要の取り込みを加速させており、小売りは高級路面店、ホテルはリゾート開発や都市型ラグジュアリーホテルなどの出店計画が相次いでいると指摘する。(日刊不動産経済通信

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事