東京都の住宅政策長期ビジョン中間案-分譲団地再生へ連絡会議設置
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 東京都は、2040年代に向けた住宅政策の目標や具体的な施策の方向性を示した中間取りまとめ素案を作成した。このうちマンションの適正管理に関する施策では、第三者管理方式の導入などで管理運営の担い手が不足するマンションへの支援を講じる方針などを明記。団地の再生に向けて、事業者や行政が交わる「団地再生連絡会議」を開催し、課題の共有や再生に向けた検討を進める方向も示された。
 都は今後の住宅政策の目標について有識者などからなる住宅政策審議会に諮問し、このほどその中間取りまとめ(素案)が議論された。マンションに関しては「安全で良質なマンションストックの形成」を目標に定め、適正管理の促進や老朽マンション等の再生の促進を施策の柱に据えている。団地については「都市づくりと一体となった団地再生」を目標とし、良好な地域コミュニティの実現や地域課題を踏まえたまちづくりが施策の柱となっている。
 マンションの適正管理の促進に向けた具体的な取り組みとしては、東京都のマンション管理条例で規定した管理状況届出制度の運用により、把握した管理状況に応じたアドバイザリー制度の活用や、管理に取り組むのが難しいマンションへの行政からの積極的なアプローチによる支援が示された。また所有者の高齢化などで担い手不足に陥り管理運営が機能しないマンションを念頭に、第三者管理の活用を含めて支援のあり方を検討する。さらに、区市に対してマンション管理適正化推進計画の策定支援や、管理計画認定制度の活用促進も進め、優良マンション登録表示制度の見直しや普及促進策の検討も行う。
 第三者管理の導入について、有識者からは業務を行うことへの補償や保険制度の必要性を問う意見や、業務の継続性をどう担保するかといった課題を指摘する意見や、制度運用を支えるための仕組みが必要だとする意見が挙がっており、今後の検討課題となりそうだ。
 老朽マンションの再生促進への取り組みでは、マンション再生まちづくり制度の見直しや、建替えや敷地売却、敷地分割制度などの活用が進む支援策の検討が盛り込まれている。
 一方、団地再生に関する取り組みでは、都内の団地に継続的に関わる事業者や行政が参加する「団地再生連絡調整会議」を設置して議論する、とした。特に、分譲による住宅団地も議論の中心に据えて取り組む方針。都市再生機構や住宅供給公社が完成後も管理やコミュニティ形成などに関わる賃貸住宅と違い、分譲団地は完成後に管理に関わり続ける主体が少ないため、会議を通じて団地特有の課題の把握を行い、分譲団地の再生に向けた方向性などを議論する。

2021/8/5 月刊マンションタイムズ

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