「賃料、夢払い」とは?都心オフィス利用1年無料企画に、スタートアップ10数社が応募。今後のオフィスでの働き方はどうなるか?(下)

「賃料、夢払い」とは?都心オフィス利用1年無料企画に、スタートアップ10数社が応募。今後のオフィスでの働き方はどうなるか?(上)より続く

コロナ禍で「仕事をする場」としてのオフィスのあり方が問われる中、東京都心のオフィスビルが1年間無料で借りられます、という不動産会社のキャンペーンが注目を集めている。「賃料、夢払い。」というネーミングで、入居審査をパスした企業に東日本橋のビルへ1年間無料で入居できるというもの。応募は7月末で締め切られた。告知・情報提供はネットで行い、AIによる映像制作会社をはじめとする新進気鋭のベンチャーなど10数社から応募があった。仕掛人の小田修平(おだ・しゅうへい)・サンフロンティア不動産 執行役員リプランニング事業部長に取り組みの狙いと、フレキシブルスペースや今後の働き方のあり方について考えを聞いた。

ー「夢払い」企画について

小田氏 このような新しい時代に、新しい働き方を提案するオフィスがあるのを知ってもらうことが重要だと考え、知ってもらうきっかけとして「賃料、夢払い。」を企画した。明確なPR戦略を行い、当社が目指すWork Style Design Brandをメディアに取り上げていただくことで、フレキシブルオフィス市場へ後発で参入した当社の認知を高めることを目指している。 まずは、知ってもらいオフィス選びの選択肢に加えてもらい、検討の俎上に載せてもらいたいと考えている。現在までの「賃料、夢払い。」企画への応募企業数は10社を超えた。AIによる映像制作の会社等のIT関連企業や音楽、ファッション、医療など様々な業種からの応募があった。このように、応募企業の特色から、どのようなニーズをLITが叶えることができるか、リーシングにおける一つのマーケティングデータの収集にも繋がっている。

ー提供する施設と審査の基準について

小田氏 たくさんの魅力的なスタートアップ企業から応募があり、企業の代表者の年代は10代から50代と幅広い。応募は7月末で締め切り、すぐに書類選考を行い、8月中に最終選考を完了する予定。最終審査は、特別審査員である元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円氏、株式会社ILLUMINATE代表取締役社長のハヤカワ五味氏、映像作家・クリエイティブディレクターで株式会社GOSAY studios代表取締役の藤井亮氏による面接会を行う。「賃料、夢払い。」フロアはLITの5階を予定しており、11席を用意している。この席の分、最終選考で入居企業を決定する。1社あたり3人なら3、4社という計算になる。入居から1年間は完全無料とし、LITのアンバサダーとして、PR活動に参画いただく。今回の反響をみながら、今後も第2弾、3弾の企画もしていければと考えている。審査基準で重要になるのは、夢のビジョンの熱量と具体性がある企業に入って欲しい。世の中にとってポジティブな夢をぜひ応援したい。

ー貴社のフレキシブルオフィスの狙いは

サンフロンティア不動産・小田氏

小田氏 価格は、地域でトップランクのフレキシブルオフィスの価格から1、2割引と少しリーズナブルに設定している。ビルグレードも立地も若干落ちるかも知れないが、その分面白さを追求したオフィスを提供する。オフィスのファッション化をテーマに、ライブ感を前面に打ち出し、エンタテイメント化することが、私の目指すオフィスの姿だ。オフィスが単なる事務処理を行う場所という役割を越え、社員が集う特別な場としてのライブ感が大切だと考えている。そして活性化されたコミュニティを作るための、ネットワーキングの推進が鍵である。今は多拠点に分散していても、今後都心に回帰するときに、社内が繋がりによって活性化されてくるだろう。そのハブ的存在となるべく、コミュニティマネージャーの教育もどんどん進化させており、LITではスペシャリティコーヒータイムとして、ハンドドリップコーヒーを1日に2回提供し、入居企業同士の交流の機会を設けている。オフィスのエンタテイメント化は、オフィスのデザインとそこに集う人にエッジを効かせている。振り切ったデザインは好き嫌いが分かれるが、好きな人が集まれば、趣味・趣向が同じ人が集い、価値観が似通うということだ。そこにイベントを投入して、友達になれる。それが一つの狙いだ。

ー現下のオフィス市場について

小田氏 まさに「サイズダウン大移動」が起きた。分散オフィスや縮小移転等により、オフィスの空室率が上昇している。最先鋭の大型ビルでは5年の定期借家契約というケースが多く、また、募集時の条件等により、通常の2年契約においても違約金が発生する場合もある。加えて、原状回復工事も必要となることから、オフィスの移転は経済的にも精神的にも大仕事となる。そのような背景から、気軽に、簡単にオフィスを選べるフレキシブルオフィスが求められる時代になると考え、第5世代セットアップオフィスとして、フレキシブルオフィスに取組んでいる。フレキシブルオフィスの市場規模は将来的に100倍以上になるというシンクタンクの試算もある市場だ。

ーポストコロナ時代をどう見るか

小田氏 今はコロナ禍にあり、分散オフィスやリモートワークが推奨されているが、世界を見れば、都心のオフィスに人が戻ってきており、NYはお祭りさわぎのような状態で、世界では既に攻めに転じている企業もある。日本においては、分散型オフィスでも企業活動が継続できることはこのコロナ禍で証明されたが、企業業績をさらに伸ばしていくには、やはりホームグラウンドは必要だと考えている。だがそれは以前のように執務をするだけの従来型のオフィスではない。オフィスよりも、自宅の方が集中できる体験を多くの人は感じたはずで、これからのオフィスには、新たな付加価値が求められている。そのような背景から、アフターコロナ時代の働き方として、仕事“だけ“をするオフィスから【集まるからこそ生まれるイノベーション】を後押しする空間として、仕事場所としてのオフィスを超えたコミュニティワークプレイス「LIT」が誕生した。「LIT」の他、当社が提供するWork Style Design Brandには、 「+SHIFT(プラスシフト)」「A YOTSUYA(エーヨツヤ)」があり、「オフィスをファッションのように選ぶ」をテーマに、より豊かな働き方を提案していく。

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