マンション標準管理規約が改正 IT総会の実施を明確化、配管一体更新や理事長解任を明記
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標準管理規約が6月22日に改正された。ITを活用した総会・理事会が実施できる点を明記したほか、裁判でも争われた共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に修繕積立金から工事費を拠出す場合の取扱いや、理事長の解任に関する規定も新たに示した。また、新型コロナウイルス感染拡大に対応し、感染拡大のおそれが高い場合の共用施設の運用やいわゆる「置き配」のルールについても記載した。改正は単棟型、団地型、複合用途型とも実施している。

 IT総会・理事会に関しては、実施するために用いる「ウェブ会議システム」の定義を2条で明記したほか、開催に当たってはシステムにアクセスするためのURLを通知する方法も考えられると43条や52条で規定。また、議決権行使は、総会・理事会の会場で議決権を行使するのと同様に取り扱うことも記載した。また、総会の定足数算出に当たり、議決権行使ができる組合員がウェブ会議システムなどで参加した場合は出席組合員に含まれる点を明確化した。

●理事長解任、最高裁判決踏まえ記載

 共用部と専有部の配管を一体的に更新する場合の取扱いでは、21条のコメントで、同時に更新することでそれぞれに更新する場合より費用が抑えられるならば一体的に工事が可能と明記。あらかじめ長期修繕計画でその方針を示しておくことや、管理規約に工事費を修繕積立金から拠出することを記載しておく点も求めている。また、先行して工事を実施した区分所有者への補償についても留意するよう記載した。配管の一体更新をめぐっては、その費用に修繕積立金を充てた管理組合をめぐって最高裁まで争われたケースがあり、今回の改正で一定の方向性を示した形だ。
 また、51条で理事会の職務に、理事長や副理事長、会計担当理事の解任も追加し、コメントでは理事の過半数の一致により解任できると記載した。理事長の解任も2017年に最高裁まで争われ、一審、二審では「規約上、解任は総会の議決事項」とした一方、最高裁では理事の過半数で理事長を解任できると判断しており、この判決を踏まえ改正した。
 感染拡大への対応としては、42条コメントでやむを得ない場合に総会の延期も可能であることを明記。18条コメントでは、共用施設の利用停止を使用細則で定めることが可能と記載したほか、置き配を認める際のルールは使用細則で定めることが考えられるとも示した。
 このほか、改正マンション管理適正化法で創設する管理計画認定制度や、改正マンション建替円滑化法で対象が追加される要除却認定への申請について48条に追加し、整理した。

●敷地分割決議は開催2カ月前に招集

 団地型、複合用途型の標準管理規約でも単棟型と同様の改正を行う。団地型はさらに、改正マンション建替円滑化法で敷地分割事業が創設されたのを受け、45条で敷地分割決議を行う場合は会議を開く2カ月前までに招集するよう明記。49条で、決議は組合員総数の5分の4以上及び議決権総数5分の4以上と示した。さらに28条や29条で、事業の実施に必要となる経費について、団地修繕積立金や各棟修繕積立金を取り崩すことができるとした。また、分割請求禁止規定があっても敷地分割事業は禁止されない点を11条で明確にした。

2021/7/5 月刊マンションタイムズ

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