仕入れ好調、都心の複数物件が早期完売―オープンハウスディベロップメント・川上執行役員に戦略聞く
オープンハウス ディベロップメント・川上氏

 オープンハウス・ディベロップメントのマンション事業が拡大基調だ。首都圏では東京都心5区や文京区などで億超え住戸を含む物件が相次ぎ完売。戸建て住宅の仕入れ部門など全社で用地情報を共有し、開発・販売の実績を重ねている。川上智宏・執行役員マンション開発事業部長に市況と戦略を聞いた。

 ―東京中心部のマンション事業が好調だ。
 川上氏 東京都心のマンションはほぼすべて順調に売れている。最近では茗荷谷や本郷など文京区の物件の人気が特に高かった。教育に強い関心を持つ高所得者層の都心志向はコロナ禍でも落ちていない。
 ―具体的な販売状況について。
 川上氏 オープンレジデンシアの「茗荷谷」(18戸)と「本郷ヒルズ」(21戸)は小規模だが2カ月で完売し、「大崎」(52戸)も5カ月で売れた。当社の販売物件は30~40戸の規模が多く、竣工の1年から1年半ほど前に販売を始めているが、平均するとどれも半年程度で完売している。


 ―完売が早い理由をどう分析する。
 川上氏 都心のブランド立地なのに大手不動産会社の物件よりも価格を低く設定していることが大きい。販売中の「オープンレジデンシア高輪ザ・ハウス」(34戸)は坪単価600万円で2億円超の住戸もあるが大手の物件に比べれば安い。これは当社が高額物件の新機軸を打ち出せるかの試金石になると考えている。


 ―自社の戸建て部門とどう連携する。
 川上氏 マンションの需要が供給数を上回っており、毎月10~15組の顧客に自社の3階建て戸建て住宅を紹介している状況だ。在宅勤務の普及もあり、立体的な間取りの戸建て住宅が売れやすくなっている。


 ―都内での仕入れの状況は。
 川上氏 ワンルーム(1R)用を含め絶好調だ。1Rなど首都圏の投資用マンションは、当社が土地を買い、傘下のプレサンスコーポレーションが開発するといった共同事業でシェアを拡大する計画だ。一方、コンパクトとファミリー向けの仕入れの環境は大きくは変わらない。ただコロナ禍でホテル事業者と仕入れで競合する機会が減り、より土地を買いやすい状況になった。


 ―コロナの感染は短期的に収まるとの見方もある。
 川上氏 コロナの影響にとらわれず、底堅い需要がある立地と企画のマンションを売っていく。首都圏では東京都心とその周辺が主戦場だが、新たに横浜での仕入れを強化している。JR横浜駅徒歩圏のマンション2件を販売中で、他にも複数の用地を仕入れた。


 ―横浜での事業戦略について。
 川上氏 メインになるのは西区と中区、川崎市中心部だ。東急東横線沿線も良い。東京駅までの通勤時間は横浜と大崎で15分程度しか変わらないが、同じ価格帯で専有面積は20㎡ほど変わることもある。テレワークの勤務形態が続くなら横浜に住もうという向きが増えてきた。川崎を含む横浜圏のマンションの市場規模は約3000億円と試算しているが、最低でも1割程度のシェアを取りたいと考えている。


 ―事業運営上のリスクをどう考える。
 川上氏 やはり金利動向だろう。金利が上がれば多くの消費者が、特に大手が供給するマンションの現行価格に付いて来られなくなる。ただ、当社が東京都心で販売するコンパクトマンションを買う層は、金利上昇の影響を比較的受けにくいと考えている。(日刊不動産経済通信)

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