ヒューリック、コロナ禍でも過去最高益―物件入れ替え加速、今期5千億を投資

 ヒューリックの業績が好調だ。前期(20年12月期)はコロナ禍にも関わらず、各利益は過去最高を更新。ホテル・旅館事業は営業赤字だったもの、オフィスが中心の賃貸事業は増益、特に物件入れ替えに伴う売却益が大きく伸びた。都心物件やデータセンター、物流施設などを積極的に取得していく方針。
 前期の営業利益は13・8%増の1005億円。ホテル・旅館事業が74億円の営業赤字となったが、物件の売却益は189億円増えた。同社は銀座・有楽町などの重点エリア、都心主要駅至近などの物件を積極的に取得する一方、それ以外の物件は売却を進めている。吉留学社長は1日に開いた電話形式の決算説明会で「売買市場は昨年前半は大きな動きはみられなかったが、後半から動きが急速に出てきた。物件入れ替えとしては進めやすい環境になっている」と話した。
 オフィス賃貸の状況については、「多少解約は増えたが埋め戻しは順調。空室率は低い水準を維持し、賃料への影響もほとんどなかった」とし、「新規の入居者は立地改善、ビルグレードをアップしたいというニーズがあり、賃料がアップしたケースも多かった」と話す。ただ、中長期的な労働人口の減少を見据え、ポートフォリオに占めるオフィスの割合は現在の60%から50%に抑える。
 今期(21年3月期)のネット投資額は4950億円(前期実績2130億円)、うち賃貸事業等で3790億円(1450億円)を見込む。経常利益は4・5%増の1000億円と予想している。電通グループが売却を検討している東京・汐留の本社ビルに関しては、同社は交渉先となっているが、交渉には半年以上かかる見通しで、業績予想には織り込んでいない。(日刊不動産経済通信)

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