地方で活用できるAI価格査定を研究―東大CREIが開発へ、空き家流通促進
東京大学不動産イノベーション研究センター(CREI)

 東京大学不動産イノベーション研究センター(CREI、センター長=柳川範之・東京大学大学院経済学研究科教授)は、「AI・機械学習などの新技術を用いた不動産価格等分析高度化研究会」(座長も柳川氏)を立ち上げた。取引の少ない地方部でも活用できるAI価格査定の開発が研究の主体。停滞しがちな地方部の空き家流通を新技術により促進する。
 地方の不動産売買では、売主の希望売却価格が実態と乖離し、宅建業者が示す相場にも納得が得られず、取引が長期化する傾向がある。CREIが連携する全日本不動産協会の全日みらい研究所がまとめた「全日空家大全」によると、宅建業者に依頼された空き家取引のうち、平均3分の1が成約に至らないという調査結果がある。価格設定の調整が課題とする業者が多かった。客観性と信頼性があり、地方でも簡易に価格査定ができる仕組みは、空き家の流通に資するとして研究のメインに据えた。
 AIはデータが少ないと機能せず、既存のAI査定サービスは取引データが豊富な都心部に限定した提供がほとんど。取引の少ない地方は不動産が流通しないという格差も生む。分析手法の工夫でデータが少ないエリアも補えるか研究し、将来的には、不動産流通推進センターからのサービス提供を目指す。
 このほか、心理的瑕疵が不動産の価格や賃料に与える影響や、マンションの修繕積立金や管理費の水準、リバースモーゲージ担保物件の価格査定モデルの開発なども研究する。研究会には国土交通省、不動産業界団体、大手不動産企業がオブザーバーとして参加。最近の活動と不動産に関するテーマをまとめる「CREIレポート」を、15日から公式サイトに掲載している。(日刊不動産経済通信)

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