日銀の見直し不動産市場への影響限定的―三菱UFJ信託、緩和続くなら歪み解消

(提供:日刊不動産経済通信)三菱UFJ信託銀行は、日本銀行が昨年12月20日に打ち出した金融政策の見直しが不動産市場に与える影響は限定的とするレポートをこのほど発表した。日銀は、長期金利の許容する変動幅をこれまでの±0・25%程度から±0・50%程度へ拡大して政策を修正したが、欧米の金利上昇を背景に日本の金利も「22年に入って既に上昇していた」と言及。金融の緩和的なスタンスの継続を前提とすると日本国債のイールドカーブの歪みを一部解消した程度にとどまり、「金利上昇の度合いは大きくないとも言える」とした。

 分譲マンション市場への影響は、住宅ローン金利の上昇が主な懸念点となるが、「市場全体でみた時の、住宅取得者の購入能力に対する影響は限定的」とみている。昨年12月19日から20日に金利が上昇した10年付近の日本国債は、長期金利で上昇幅が0・1㌽強、短期金利では更に小さい範囲にとどまったため、月々の住宅ローン支払い額に対する影響は一定の範囲に収まると想定。住宅ローンの利用者の7割超を占めるのは変動金利型であり、今回の見直しによる金利上昇の影響は小さいと見込む。また、不動産投資市場では、長期金利を投資判断で参照することは多いものの、昨年9月時点の日本のイールドギャップは他の先進国と比べると相対的に高い状態だった。長期金利の上昇が現状の程度であれば、国際的に比較した際の魅力は損なわれないとしている。

 ただし、不動産投資家や住宅取得者に、金融政策の見直しが近い将来に一層進むとの観測が高まった場合、投資姿勢の消極化や住宅取得の見送りなどが起きる可能性を見込んでいる。今後のマインド変化や日銀の政策スタンスに注視が必要と指摘する。

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