オフィス空室のダウンタイムが長期化―三菱UFJ信託、都心5区は平均10カ月

(提供:日刊不動産経済通信)三菱UFJ信託銀行は、東京のオフィス賃貸市場の需給動向に関して、空室募集をした際の成約しやすさからリーシング動向を分析したレポートを公表した。同社の予測によると、空室率は22年後半をピークとして今後は低下を想定し、賃料相場も23年内に底打ちを見込んでいる。一方で、オフィスビルに発生した空室が埋まるまでのダウンタイムは都心5区で10カ月程度への長期化すると推計。早期の空室解消を優先した値下げが拡大する可能性もあると分析した。
 東京のオフィス市場で、エリア別に成約動向を比較した際に、渋谷エリアは21年の後半頃から、丸の内・大手町や西新宿など他のエリアより成約が多くみられている。平均のダウンタイムは10カ月近いものの募集期間は5、6カ月ほどと、募集期間の方が短いエリア。テナントの退去で空室は発生しやすい一方、募集中だった空室もある程度の期間で決まっていき、流動性の高いマーケットとみている。建築中の大規模ビルも、他のエリアより順調な引き合いがあるとみられる。
 一方、平均のダウンタイムより募集期間が長い豊洲や、ダウンタイムが15カ月近くで募集期間が約20カ月にも及ぶ有明・台場などのエリアは、引き合いの強弱の差が拡大し、賃料の見直しを行ってなお、大型の空室を抱えたままのビルも少なくない。
 レポートでは、オフィス市場を東京全体でみると、想定賃料が低下したビルの割合が徐々に減少しており好転の兆しはあるものの、エリアによる格差が大きいとする。市況の改善はまだら模様のため、空室の長期化を懸念したビルオーナーがテナント確保を優先し、賃料の値下げが拡大するリスクも想定している。

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