割安な郊外マーケットの復調 ―首都圏分譲マンション市場を見る(下)
不動産経済ファンドレビュー

城西、城北エリアは割安感の評価高まる
 ーエリアが持つ将来の発展性に期待し先取り

(提供:不動産経済ファンドレビュー)トータルブレインは、2021年11月から2022年6月にかけて首都圏で新規発売した270件に対して売れ行き状況を調査、244件から回答を得ている。それによると、「好調」が139物件(57%)、「まずまず」が94物件(39%)、「苦戦」はわずか11物件(5%)だった。昨年前半以上に売れ行きは好調に推移している。エリアごとに見ると、最も「好調」が多かったのは都下で82%、「苦戦」はゼロ。次いで埼玉が65%、千葉が55%。郊外の売れ行きが良かった。23区は53%だが、昨年は63%なので去年と比べて落ちている。都心と城南が足を引っ張った。去年はいずれのエリアも70%を超えていた。しかし今年は40~50%で好調率が落ちている。城南は売値が30%上がっており、都心も価格が上昇しているので、結果として売れ行きのスピードは落ちてきている。一方で好調比率がアップしているのが、城西と城北。城西は都心・城南に比べて割安感が評価され、城北は高い利便性の割に割安な価格水準が評価されている。

 2022年前半の首都圏マンション市場は、おおむね昨年の好調が継続しているが、ポイントは割安な郊外マーケットの復調だ。所得の上昇が難しい中、都心中心にマンション価格は上昇を続けており、賃貸を脱出したい一般層は中古や割安な郊外マンションを検討せざるを得ず、郊外物件の販売が好転した。23区でも割安な練馬区や城北エリアの販売が好転している。売れ行きの特徴の1つに、アクセスが良い割に意外と割安なエリアでの販売好調事例の増加がある。1次取得層は予算が限られる中、検討エリアを広げてマンションを探し始めている。良好なアクセスにもかかわらず割安なエリアは、デベロッパーの沿線・エリア(地位)評価が低く、供給側に人気がないエリアだ。エンドユーザーは、エリアが持つ将来の発展性に期待し先取りする。トータルブレインの杉原禎之副社長は「デベサイドもこれまでのエリアイメージにとらわれることなく、穴場の路線・エリアを開拓していくことが必要」と強調する。
 デベは足元で、建築費や地価の更なる上昇、住宅ローン金利の上昇、物価高騰と生活防衛意識の高まりによる顧客マインドの低下について不安要素を抱えている。これらを乗り越えるために、これまでの固定観念を捨て、沿線・エリア評価の見直しが求められている。

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