ESR、初のDCファンドを総額10億米ドルで組成 IT電力容量計300MWの8プロジェクトが投資対象
不動産経済ファンドレビュー

ESRグループ(以下、ESR)は、アジア太平洋地域(APAC)のデータセンター事業に特化した第1号投資ビークル「ESR データセンター・ファンド 1」(以下「ESR DC ファンド 1」)を組成し、7月25日に出資コミットメント総額10億米ドル(約1360億円)で1次募集を完了した。世界有数の政府系ファンドや年金基金が参加した。ESRは別途、一任勘定型の投資ビークルを設立し、5億米ドル(約680億円)の調達を予定しており、この5億米ドルが集まると、「ESR DC ファンド 1」の残高は上限額である15億米ドル(約2040億円)に達する見込み。また、資本パートナーは15億米ドルの出資枠追加オプションを有しており、出資規模は最大30億米ドル(約4080億円)となる。さらにローンの調達予定額を含めると投資総額は最終的に75億米ドル(レバレッジ含む)に達する見込み。

 現在のESRのデータセンター(DC)のポートフォリオは、香港、大阪、東京、ソウル、シドニー、ムンバイ、シンガポールなど、APACの主要なDC集積地にある8つのDCプロジェクト(IT電力容量合計 300MW)で構成されている。その内、ESRのDC第1号プロジェクトで、大阪市で開発中の「ESR OS1データセンター」は、最大95MWのIT電力容量を備えた3棟構成のキャンパス型で、大手クラウドサービスプロバイダーを含むハイパースケーラーからコロケーションユーザーまで多様なニーズに柔軟に対応できるDCとなる予定。

ESRの物流施設とDC (ニューエコノミー不動産)を合わせた資産運用残高は約 600 億米ドル(約 8 兆 1630 億円)にのぼり、デジタルインフラのエコシステムを拡大させることはESRグループの重要戦略の1つ。このほど組成した「ESR DC ファンド1」は今後のESRのビジネス拡大を加速させる、大きな力となる。また、ESRは ESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みを全事業の中核にしており、ESRのディアミド・マッシーCEOは「データセンター開発においては CO2 の削減と責任あるイノベーションが不可欠であると考えている。既存の資産の一部の大規模で最先端のデータセンターへの転換や、建物屋上の太陽光発電所で発電した再生可能エネルギーによるカーボン・オフセットなど、サステナビリティも追求する」とコメントしている。

ESR は香港にグループ本社を置き、日本・中国・韓国・シンガポール・インド・オーストラリア・ニュージーランド・インドネシア・ベトナムで事業を展開し、欧米にも拠点を拡大している。日本では三大都市圏(首都圏・関西圏・中部圏)と九州を中心に物流施設・DCを開発しており、アジア最大の延床面積を誇る「ESR 尼崎ディストリビューションセンター」他、26の物流施設を竣工させ、12プロジェクトを開発中。

2022/8/5 不動産経済ファンドレビュー

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