【マンション管理の未来】 適正評価制度の社会的定着に注力マンション管理業協会 理事長 高松 茂 氏 (下)
マンション管理業協会 高松理事長

【マンション管理の未来】 適正評価制度の社会的定着に注力マンション管理業協会 理事長 高松茂 氏 (上)より続く

 区分所有者にとっても、管理が見える化し、毎年の健康診断のように早め早めにマンションに手を入れていくことは、長く快適に暮らせるベースになる。もちろん、既存マンションを購入しようとする人にとっても、管理を見える化しておくことは消費者保護の観点からも必要なことだ。業界にとっても、制度によって管理会社の価値を今まで以上に幅広く理解してもらえることになる。

 マンションごとに評価が現れてくると、今何をしなければいけないかが個々のマンションで見えてくる。すると、管理組合と管理会社で対話することができ、なぜ管理会社がこうした提案をしているのか理解してもらえるようになる。

 管理会社としてサポートする上では、管理会社も技術面や知識などのレベルを高めていかなければならない。協会としても中小会員などマンパワーが不足しているところをサポートする必要がある。ひとつは、協会として「暫定版長期修繕計画」を近く作成して、計画のない管理組合が工事の計画を検討していくなどの立ち上げの段階を支援できるようにしたい。

評価制度で見えたデータを国への要望や課題解決に

――政策要望は。

高松氏 大枠としては、適正評価制度の社会的定着につながるインセンティブに関して要望していきたい。適正評価制度で管理状況が見える化することは、個々のマンションの管理水準が向上されるだけでなく、業界団体としても管理に関するデータを集約することでどういった課題があるか、また何を強化すべきなのか、何を国に要望するかも見えてくる。適正評価制度を要望する上での根拠にしたい。

 管理業界が国などに要望する際、根拠となる事象やデータは管理組合が主体となるため、そのデータを分析することは難しかった。適正評価制度は管理に関するデータの活用を前提にして運用されており、いろいろな活用ができる。既に学術界からも集計するデータに関心が寄せられているほか、統計データを扱う企業からも引き合いがある。そうした動きと一体となってデータを分析すれば、資金不足の実態や、老朽化の進行度、管理規約や長期修繕計画の整備状況なども見えてくる。見える化することで国への要望活動もより深化できるし、個別の課題にもよりきめ細かく対応できると期待している。

――中期事業計画の振り返りと次期計画について。

高松氏 次期計画に向けては、今夏に正副理事長全員で議論する場を設けるほか、各委員会の活動も振り返り問題点を整理する。今年度内には次期計画をまとめ、具体的に動き出したい。

適正評価制度が創設されたことは現在の中期事業計画での大きな成果になったので、次期計画の期間で制度の社会的定着を目標にしたい。現在の制度では評価項目は30項目あり、これは誰が評価しても同じ結果となるようにこの項目に絞り込んだ。ただ、制度によりインセンティブを得る上ではより技術的なデータも必要とみられ、改訂に向けた準備は始めていかなければならない。判定項目をさらに盛り込んだり、コミュニティなどソフト面での項目設定も検討したい。評価方法のあり方も含め議論していきたい。

 現在の中期事業計画でもうひとつ成果といえるのは管理業務のDXだ。標準管理規約が改正されIT理事会やIT重説が実現できた。二つの老いや三つの老いは業界だけで解決できるものではないが、解決策の一つとしてはDXで業務を効率化し人手不足や人件費高騰に対応していきたい。

 またDXにより時間と場所の制約を外していきたい。コロナ禍の中で居住者のITリテラシーは高くなったが、マンションでのITインフラの整備はまだ課題だ。費用の補助も含め協会としても要望していく。業界としても、土日に業務があることなど自分で時間をコントロールできない課題をDXも生かして変えていきたい。

(プロフィール)

高松 茂(たかまつ・しげる)氏

1981年3月青山学院大学経営学部卒業後、同年4月三井不動産㈱入社。2005年4月 住宅事業本部CS推進室長、2006年10月 三井不動産レジデンシャル㈱品質企画部長、2009年4月三井不動産㈱横浜支店長兼三井不動産レジデンシャル㈱横浜支店長、2013年4月三井不動産レジデンシャル㈱取締役常務執行役員、2015年4月同社代表取締役社長。2019年4月から取締役会長(現任)。マンション管理業協会では2016年6月副理事長を経て、2022年6月から理事長(現任)。1958年12月23日生まれ。東京都出身。

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事