都内上場企業、7割が移転の検討なし─国交省、シェアオフィスは安全性が障壁
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 国土交通省は、「企業等の東京一極集中に関する懇談会」の第4回をこのほど開催した。都内に本社がある上場企業の移転検討状況などについて、調査結果の速報値を発表。現在移転を検討している企業は、ほとんどが都内での移転を検討しており、企業の地方移転にはまだ課題が多いことが分かった。
 389社が回答したアンケートによると、本社の配置見直し(全面移転、一部移転、縮小)を具体的に検討している企業は26%だった。19年以前から検討していた12%、20年から検討を始めた14%の合計で、検討していない企業が74%で大半を占めた。20年に入ってから検討している企業は、テレワーク利用度が高い企業ほど多い傾向で、「不動産業、物品賃貸業」や「卸売業・小売業」の割合が高かった。
 具体的に検討している71社の移転検討先(複数回答)は、東京23区が73%、埼玉・千葉・神奈川のいずれかが21%、23区外の都内が17%で、地方で検討している企業はわずかだった。企業の地方移転を促すには、地方の活力や魅力の向上が必要だと浮き彫りになった。どのような公的支援があれば移転が容易になるか質問したところ、オフィス移転費用への補助金や、移転費用に応じた税制優遇を求める声が多かった。
 テレワークにも課題がある。自社のサテライトオフィスがある企業は18%(回答308件)だったが、セキュリティを理由に、51%の企業は他の事業者が提供するシェアオフィスの利用を認めていなかった。テレワーク拡大に必要な公的支援は、機器購入費用の助成、通信インフラの充実、行政手続きのオンライン化・押印廃止などを求める声が多かった。

2020/11/17 日刊不動産経済通信

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