シリーズ;相続対策最前線① 個人富裕層の不動産投資の動向 コロナ禍のマネー流入で利回り物件取得に厳しさ フェイスネットワーク(上)
フェイスネットワーク 石丸洋介取締役

 相続税への増税傾向が強まる中、個人富裕層による不動産投資ブームが続いている。相続税対策として賃貸住宅に投資するのが常套手段だが、2018年のスルガショックと2020年のコロナ禍を経て賃貸住宅投資を巡る市場環境が大きく変化した。1棟物件が高額化し利回りが確保しづらい状況となっている。そこで相続対策に対する個人富裕層のニーズの現状と今後の見通しについて、フェイスネットワークの石丸洋介取締役に話を聞いた。フェイスネットワークは主に世田谷区・目黒区・渋谷区といった城南エリアの資産性の高いエリアで投資用新築一棟RCマンションを供給するデベロッパーだ。

Q:投資用一棟マンション市場について

 投資家の投資需要が圧倒的にある一方で、その需要に見合った十分な物件の供給がなされていない。最終的な物件価格が上がり続けている。不動産投資ファンド等の機関投資家の需要はとりわけコロナ禍以降顕著に拡大している。コロナにより、世界の不動産投資資金が行き場を失い、不動産投資ファンドが比較的コロナの影響が小さい日本の、特に東京の不動産をポートフォリオに組み込んでいるので、資金が東京の不動産に流れている。だが供給が少なくて物件が買えないので、こうしたファンドが小型の物件を購入するようになった。

 投資ファンドはコロナの前までは1件あたりの規模が20億円とか、小さくても10億円といったレンジのものを買っていたが、物件供給が少ないので、もっと小規模の5億円前後の物件をバルクで買うようになってきている。さらに不動産業者ではない一般事業法人の資産運用ニーズが顕著になってきた。コロナ禍で本業の脆弱性が浮き彫りになり、何らかの副収入を得たい、本業以外で稼ぎたいという企業が増えた。

Q:個人投資家の動向は?

 当社の顧客は相続対策のニーズが強かったが、コロナをきっかけにファンドや事業法人といった事業者がマーケットに加わった。そのため価格が高騰し投資しにくい状況だ。東京の土地、特に当社が強みとしている世田谷・目黒・渋谷の土地の供給は限られている。不整形地も多く、特に世田谷は高い建物が建てられない。日影規制や区の条例なども厳しく、フロアごとに部屋の広さや間取りを変えたりと設計に手間がかかるしノウハウも必要になる。開発自体がどんどん難しくなっている。今後さらに供給が先細りしていくと想定される。だが当社は設計部門を内製化しており柔軟な対応が可能である。個人投資家が適切に投資できるような物件は東京都内の好立地では難しくなってきており、当社と同じような事業の会社は開発を断念せざるを得なくなるケースもあるのではないか。

Q:コロナ以降のファンドの動きは?

 コロナをきっかけに投資ファンドの動きがより強くなってきている。例えばコロナ前までオフィスや商業施設などに投資していたようなファンドが、レジの比率を上げてきた。コロナで稼働率や賃料で大きな影響を受けたビルや店舗よりも、レジは非常に安定しているからだ。コロナを経ても賃料・稼働が下がっていないのは賃貸住宅と物流施設ぐらいだ。コロナ以降はこうしたファンドが10億未満の物件、5〜7億円のサイズに投資するようなケースがそれなりに出てきている。

 もちろん10数件をまとめて投資するのが基本だが、想定する投資額に達しなかった場合などに追加で個別投資している。コロナを経て小ぶりな物件の投資に慣れてきた印象だ。当社が扱ってきた1物件数億円の物件は投資ファンドにとっては投資効率が悪いが、そもそも出物が少ないのでまとまった案件に投資することができない。そのため当社と同じような業態の複数の会社にアプローチをかけて、開発物件を買い集めているのだ。数億円の物件をいくつか追加して数十億円規模のファンドに仕立て上げている。

 

 Q:ファンドの中身は?

 これまでは国内系が多かったが、近年は外資系が目立つ。東京の市場は世界の大都市と比較して価格が安く映っており、為替も影響して十分なリターンが得られると考えている。実際に話がきているのは外資の著名なファンドもある。こうしたファンドが不動産のポートフォリオのうち賃貸住宅の割合を数ポイント上乗せするとかだけでも、当社が扱う市場にとってはとてつもなく影響が大きい。エクイティは日本の地銀や生保、中には地方自治体や学校法人など多種多様。様々なマネーが東京の賃貸住宅市場に流れている。

シリーズ;相続対策最前線② へ続く(予定)

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