坪単価100万円台市場はほぼ消滅 首都圏一次取得向けマンション市場の今(上)
不動産経済ファンドレビュー

コロナ感染拡大以降も確実に価格が上昇し続けている首都圏マンション市場。近郊・郊外部でも単価が200万円台後半のマーケットが広がっており、かつて郊外部で主力だった100万円台の供給範囲は大幅に縮小。200万円台だった市場は次々と300万円台市場に変化している。一次取得者向け市場の足元と今後を見通す。

坪100万円台は10年で9割減の2358戸

200万円台後半市場は近郊・郊外部に拡大

 不動産経済研究所の調べによると、2021年度の首都圏分譲マンションの平均価格は6360万円、坪単価は314.49万円に上昇。都区部平均が8449万円・431.64万円で全体をけん引している状況だが、首都圏全体で上昇傾向が続いていることに変わりはない。

 足元の状況はどうなっているのか。調査会社のトータルブレインが、首都圏分譲マンション市場における、坪単価別の市場分析を行っている。100万円台の戸数は、2010~2014年が年平均2万1634戸から2020~2021年が89%減の2358戸へ激減。平均単価は161.4万円から176.9万円、平均価格は3591万円から3859万円へ上昇した。200万円台の戸数も約50%減り、100万円台~200万円台の一次取得向けマーケットは大幅に縮小しており、特に100万円台は消滅に近い。一方で、400万円台以上の高額マーケットは拡大しており、2010~2014年比で3倍と大幅に増加した。平均単価は横ばいだが、平均価格が1億259万円から7982万円に低下し平均面積が75.94㎡から58.57㎡に大幅縮小しており、400万円台市場はコンパクト化が進んでいる。500万円台以上の市場は、2010~2014年比で8.5倍。2014年までは富裕層向けの億ション市場だったが、現在は平均面積が91.99㎡から71.24㎡へグロス圧縮が進み、億ションの内容そのものが変わっている。首都圏市場における価格帯別市場シェアは、100~200万円台が中心から、コロナ以降、200万~400万円台中心のマーケットに転換している。

 100万円台市場をエリア別に見ると、2014年までは、23区内でも城東(江東、台東、墨田、江戸川、葛飾)や城北(豊島、北、板橋、荒川、足立)ならば100万円台の供給が見られ、神奈川は横浜、川崎、埼玉は大宮、浦和、川口、志木、千葉は船橋、市川、松戸など、近郊・郊外部の人気エリアでも供給されていた。2015~2019年に23区、横浜、川崎の供給が激減し、2020~2021年は埼玉の郊外部、千葉、茨城、栃木、群馬などその他関東エリアでの供給のみに。23区内では足立区江北と昭島市の2物件、神奈川も県央エリアの6物件にとどまり、総供給物件数も271物件から33物件に激減している。

 200万円台前半も同様の動きがあるほか、200万円台後半市場は、2014年までは超都心を除く23区全域に広がり、都心3区や城南、城西でも活発に供給されていたが、2020~2021年になると、城東、城北、横浜、川崎、湘南、さいたま区部、川口、戸田など、千葉区部、浦安、市川、船橋など近郊・郊外に拡大している。つまり、価格重視の一次取得者向けの供給エリアが郊外化し、連れて価格も上がっている。

 

坪単価100万円台市場はほぼ消滅 首都圏一次取得向けマンション市場の今(下)へ続く

2022/5/25 不動産経済ファンドレビュー

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