ウィズ・コロナ時代のオフィス市場② オフィス家具の買取・造作マーケットからみる市場動向 オフィスバスターズ(下)
オフィスバスターズ・大崎本部長

緊急事態宣言・蔓延防止措置の期間が空け、コロナとの付き合いが日常化した昨今。オフィス市場はどうなっているのだろうか。所謂「オフィス空室率」からは見られない、オフィス市場の動向を追った。オフィス家具買取・再販で知られるオフィスバスターズで執行役員兼西日本本部長を務める大﨑博史氏にオフィス家具の買取の状況から、コロナ禍のオフィス市場や足元の状況などについて話を聞いた。大﨑氏は東京以外に大阪と九州も管掌する。

ウィズ・コロナ時代のオフィス市場① オフィス家具の買取・造作マーケットからみる市場動向 オフィスバスターズより続く

 ―足元の動きは

 大﨑氏 大企業からのオフィス家具の買取の状況から判断すると、まだ縮小の動きは継続している。一方でコロナとは関係ないところで、オフィスビルの竣工はそれなりにある。とくに大阪は今年はかなりある。建物が新しく建てば一次移転、二次移転が出てくる。大規模ビルができると複数フロアを借りるような大企業の移転が発生する。そうなると既存の什器は置いて出て行ってしまう。新しいオフィスの内装とかイメージにそったオフィス家具に切りかえたいからだ。面倒だからと最終的には捨てられてしまう。

 そうなったときにメーカーや引っ越し業者などから話をいただければ、当社が買取できる。これまでは中小・零細企業の案件ばかりだったが、新築・大規模ビルに移転するような大企業と取引できるようになってきた。新しいビルに移転すると元いたオフィスにどこかがまた移転してくる。移転先も移転元もどちらもオフィスづくりなどで仕事になる。空室率では数字上大きな変化がなくても、実際には移転が発生していて、仕事になっている。

 ―家具の買取・販売と内装工事の関係について

 大﨑氏 オフィス家具の業界団体のデータでは前年割れの状況で、新品中古を含めた市場としては縮小している。当社の場合も新入社員用の家具の買い増しや、旧くなった家具の入れ替えが減っている。ただし今年1~4月の足元の業績は伸びている。家具だけでなく、オフィスのレイアウト変更や内装工事が受注できているためだ。1件あたりの受注単価が伸びている。当社の顧客層がこれまでの中小・零細企業中心から、大企業の割合が増えてきたところが背景にある。大企業の顧客はより良い商品を使いたいというニーズ、オフィスづくりを含めて要望が顕在化している。
 

 ―オフィスインフラの市場全体を俯瞰して

 大﨑氏 オフィス家具の業界は新入社員の入社に備える3月だけで年間の利益の半分から3分の1を稼ぎきる業界だ。当社の場合、オフィス家具だけを切り取れば昨年を割っているが、オフィスに関わる設備投資、例えばワークブース、ITシステムといった案件が増えて高額化している。オフィスインフラに関する設備投資額はマーケット全体としても増えているのではないか。

 ―先の見通しは

 大﨑氏 ウィズコロナの中で顧客ニーズの変化にいかに対応するかに尽きると思う。オフィス家具の買取りについては競争優位性がある。今後はSDGsへの取組で循環型社会となっていき、企業のESG投資も活発化していくだろう。環境に貢献する為にも循環型の総合提案、オフィスづくりのところでもしっかり顧客にサービスを提供して満足度を上げ、多少コロナの状況や景気の変化があってもシェアを維持・拡大できるようにしたい。当社にしかできない買取・再生・販売のサイクルをどれだけ研ぎ澄ませられるかだ。

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事