トップインタビュー・小川フージャースホールディングス社長 地方都市に軸足、東京23区にも商機あり  市況悪化に備え用地仕入れをさらに厳選
フージャースホールディングス 小川栄一社長

(提供 日刊不動産経済通信

フージャースホールディングス社長 小川 栄一氏  

―地方都市での事業が主軸だ。市況をどうみる。

小川氏 地域別の事業比率は地方と東京で8対2の割合だが、地方の販売価格は東京ほど大きく上がってはいない。首都圏の不動産市況は全体的に横ばいか少し悪化するとみている。ロシアとウクライナの戦争の影響で物価が上がり続ければ業種により悪影響が出る。ただマンションの購入意欲が急激に落ちるほど日本経済が悪くなることはないと考えている。

―マンションの販売が鈍ってきたとの見方もある。

小川氏 バブル崩壊とリーマンショックという2度の危機を経験したが、マンションが売れなくなるといった危険な気配は現時点で感じられない。少なくとも来年までは大崩れしないだろう。長期的には海外の住宅需要を取っていけるよう備えたい。  

―仕入れや開発の戦略を伺う。

 小川氏 市況の悪化に備え、駅前や大型スーパーの近くなど競争力の高い土地を買う。建築費の上昇や需要減退などの悪影響を吸収できるよう仕入れ先をさらに厳選する。当社の事業エリアは人口50万人以下の都市が中心だ。独自の評価軸で確実に勝てると判断した土地があれば都市の規模を問わず事業化を検討する。

―地方の住宅購入意欲は落ちていないか。

小川氏 地方は景気の波が東京ほど大きくはない。アベノミクスの恩恵も小さかったが、マイナスの影響も小さい。首都圏で展開しているシニアマンションも含め、当社の顧客はシニア層の比率が比較的高く、マンションを現金で買うケースも多い。景気悪化による収入減少も気になりにくい層で安定感がある。

―事業エリアは北海道から九州までと広い。

小川氏 東北よりも関東以西の方が売れ行きが良いが、結局は土地次第だ。最近では山形市のタワーマンションは良く売れた。地域で一番の物件だと認識されると地元の名士らの需要を獲得できる。コロナ禍で生活様式が変わり、首都圏では会社から遠いが海に近いといったリゾートの要素があるマンションも人気だ。

―シニア向けマンション事業の実績も増えた。

小川氏 有望視している。販売ペースは遅いが、運営の知見も求められるため参入障壁が高い。当社は過去に成功と失敗を経験し、他社をリードしている。

―コンパクト・マンションのファンも増えてきた。

小川氏 独自ブランドの「デュオベール」を仙台や名古屋、福岡などで展開中だ。単身女性をターゲットにしていて購入者の男女比は5対95だ。単身者が他県から集まる傾向がある福岡と仙台は需要が強い。

―三菱商事・ユービーエス・リアルティ(MCUBS)と協業し、3月に私募リートの運用を始めた。

小川氏 賃貸マンションなどレジの開発に強い点が評価された。資産規模100億円で始めたが、まずは300億円台に乗せる。上場は現時点で考えていない。景気の波はあるがレジは長く安定的に運用できる。

 ―事業の課題や目標について。

 小川氏 地方都市での事業を重視してきたが、東京にも目を向けたい。都内でもエリアの優勝劣敗が進んでいる。有望なマーケットがないか精査する。丁寧にエリアをみていけば、需要はあるのに供給されていないといった場所が出てくる。20年前は千葉や埼玉などが事業の中心だった。今はコロナ禍もあって都心から周縁部へと人が移動している。東京23区にも未発掘の住宅適地がまだありそうだ。

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